【Vol.039】【1級建築士・計画】図書館・美術館を完全攻略|収蔵・展示・建物実例まで試験頻出ポイント総まとめ
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1. 図書館の種類と試験に出るポイント
図書館の分類
図書館は大きく「国立図書館」「大学図書館」「学校図書館」「専門図書館」「公共図書館」に分かれます。試験に最も頻繁に登場するのは公共図書館、とりわけ地域図書館です。
| 種別 | 主な機能 | 特徴 |
|---|---|---|
| 地域図書館(市町村立など) | 図書の閲覧・貸し出し | 開架方式中心、試験最頻出 |
| 広域参考図書館(都道府県立) | 専門資料収集・レファレンス・図書保存・地域館への支援活動 | 大型の閉架書庫が必要、将来の増設を見込んだ計画が必要 |
2. 地域図書館の計画数値(ここは必ず覚える!)
延べ面積と蔵書数の関係
地域図書館では延べ面積1 m² あたり50冊が基準として示されます。設計時の規模感を把握する基本数値です。
面積配分の目安
| スペース | 面積比 |
|---|---|
| 閲覧スペース(主役) | 30〜50%(1/3〜1/2) |
| パブリックスペース | 約 20% |
| 書架スペース | 約 20% |
| 事務管理スペース | 10〜30% |
閲覧室の主要寸法
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 1つの閲覧室の席数限界 | 100〜150席程度 |
| 一般閲覧・児童閲覧の1席あたり面積 | 2〜3 m² |
| 内部に書架なし・4人テーブルの場合の1席面積 | 1.8 m² 程度 |
| 閲覧席1人あたりの机サイズ(幅×奥行) | 幅 90 cm × 奥行 60 cm |
| 開架書架の通路幅(車椅子利用者が自由に通行可能) | 120 cm 以上 |
| 書架の奥行 | 45 cm 程度 |
| 書架の芯々間隔(標準:通路120cm+書架45cm) | 165 cm |
| 書架の芯々間隔(車椅子同士すれ違い:通路180cm+書架45cm) | 225 cm |
| 自由開架の場合の書籍数 | 約 1万冊 |
3. カウンター・各室の計画
出納カウンター(サービスカウンター)
貸し出し・返却・利用者登録・案内・レファレンス・安全監視を担う図書館サービスの中心です。
- 奥行き:60〜70 cm 程度
- 高さ:70〜80 cm 程度(参考:ホテルフロントは約110 cm、車椅子対応は約70 cm)
- 位置:出入口付近に設け、開架書架と閲覧室を見通せること
- 出入口付近にはBDS(ブックディテクションシステム)を設ける。電波・磁気を利用した盗難防止システム。これによりロッカーの設置が不要になる
ブラウジングルーム vs レファレンスルーム
| 室名 | 目的・特徴 |
|---|---|
| ブラウジングルーム | くつろいだ雰囲気でソファなどを置き、軽い読書・休憩を提供。中小規模では新聞・雑誌コーナーと兼ねることが多い。大規模では分けることが望ましい |
| レファレンスルーム | 利用者の調査研究・読書相談に対して情報提供するサービス室。目録室や出納カウンターに近接させる。大規模館に設置されることが多い |
OPAC(利用者開放端末)
利用者が資料を自由に検索するための端末。閲覧室内の適切な位置に分散して配置すると利便性が高まる。
児童閲覧室
- 一般閲覧室から分けて、1階の出入口近くに配置するのが望ましい
- 自由に手に取れる自由開架式とする
- 書架の高さ制限:子どもが取れる高さ=目線(身長−10 cm)が限界。小学低学年なら約100〜110 cm が上限の目安
- 床を畳とする場合、靴の脱ぎ履きをスムーズにするため約10 cm 程度の段差を設ける
キュービクル・キャレル
研究者が一定期間資料を占有して研究するための個室または専用席のこと。閉架書庫内に設けることがある。
4. 書庫の種類と収蔵能力
| 書庫の形式 | 1 m²あたり収蔵冊数 |
|---|---|
| 単独書架式(開架・平過式) | 170冊 |
| 単独書架式(閉架・平過式) | 230冊 |
| 積層式書庫(階高 2.2 m 程度に抑え収蔵効率を高める) | 単独式に準ずる |
| 稼働密集式(コンパクトスタック) | 単独式の 2〜2.5倍 ≈ 約400冊 |
5. 著名図書館建築(過去問頻出)
| 建物名 | 設計者・所在 | 試験で押さえるポイント |
|---|---|---|
| 日野市立中央図書館 | 東京都日野市 | 成人開架と児童開架をL字型平面に振り分け、カウンターをかどめに配置。間仕切りなし・閲覧席は最小限・学習室なし。貸し出し中心の機能構成 |
| 国立国会図書館 関西館 | 京都府精華町 | 景観に配慮し全体の3/5以上を占める書庫と閲覧室を地下に埋設。職員動線と利用者動線を明確に分離 |
| 金沢市立玉川図書館 | 谷口吉郎・谷口吉生(親子)設計 | 本館(コールテン鋼外壁)とタバコ工場を改修した古文書館の2棟構成。開架部門と学習・管理部門を中庭を挟んで分離 |
| みんなの森 ぎふメディアコスモス | 伊東豊雄設計、岐阜県 | 木造屋根を持つ市立中央図書館と市民活動交流センター等からなる複合施設。市民同士の交流の居場所として計画 |
| 国際子ども図書館 | 安藤忠雄設計、東京都 | 日本唯一の国立児童専門図書館。レンガ棟(既存歴史的建造物の再生活用)とアーチ棟の2棟構成 |
| フランス国立図書館 | ドミニク・ペロー設計 | 緑豊かな中庭を持つロの字型の基壇部と、四隅に配置されたL字型の高層タワーで構成 |
| ストックホルム市立図書館 | スウェーデン | 円筒と直方体が組み合わされた外観。巨大な円筒内部の壁面沿いに壮大な書架、中央にサービスデスク |
| ベルリン自由大学図書館 | ドイツ・ベルリン | アルミ・ガラスパネルで覆われたドーム状外皮。内側にグラスファイバー製半透明パネルを持ち日射をコントロール。二重外皮による省エネを実現。「脳のような形」と称される |
| 新アレクサンドリア図書館 | エジプト・アレクサンドリア | 傾斜した巨大な円盤状の屋根構造。外壁に世界各地・各時代の文字が刻まれている |
| シアトル中央図書館 | レム・コールハース設計 | 外観全体が光沢ある鉄骨とガラスで構成され、室内空間に外光を導く |
6. 美術館・博物館の計画数値
展示室の構成と面積比
美術館(博物館を含む)において展示室は全体の1/2〜1/3を占めます。その他、エントランスホール・休憩スペース・収蔵庫・事務室・学芸室・荷解室などで構成されます。
展示室の主要寸法
| 項目 | 数値・内容 |
|---|---|
| 展示室の平面寸法 | 長辺は短辺の 1.5〜2倍程度。面積は 100〜300 m² 程度が多い |
| 観客と大型展示物の距離 | 6 m 以上(通路2 m を加算すると室奥行き8 m 以上が望ましい) |
| 企画展示室の平面形 | フレキシブルな対応のため正方形に近いものが望ましい。床に段差をつけない |
| 展示壁面の鑑賞限界 | 400 m(これを超えると疲労が顕著になるため、動線上に休憩スペースを設ける) |
| 天井高(人工照明使用時) | 最低 3.5 m、最高 6 m |
| 天井高(自然採光使用時) | 10 m 程度も必要(3階建て以上に相当) |
| 絵画鑑賞の推奨距離 | 絵画の対角線の 1〜1.5倍程度 |
| 水平方向に展示物を見る場合の俯角 | 27°以内 |
展示室の循環形式
| 形式 | 特徴 | 向いている規模 |
|---|---|---|
| 接室順路形式 | 各室を直接接続して動線を作る。動線が単純で展示効率良好。一室閉鎖で動線が分断される | 小規模展示向き |
| 中央ホール形式 | 動線が固定されず、中央ホールから目的の部屋へ直接行ける。不要な室は閉鎖可能。増築には不向き | 中規模展示向き |
| 廊下接続形式 | 廊下から目的室へ直接行ける。展示効率はやや低い。不要室の閉鎖可能。増築しやすい | 大規模展示向き |
7. 美術館の照明計画
美術館では照度が変化しにくい人工照明を基本とし、全般照明と展示物への局所照明を分離するタスク・アンビエント照明を採用します。起動比は10対程度とします。
展示物の推奨照度
| 展示物の種類 | 推奨照度 |
|---|---|
| 日本画 | 150〜300ルクス |
| 洋画 | 350〜700ルクス |
| 木・紙の彫刻 | 300〜750ルクス |
| 石・金属の彫刻(陰影を出す) | 高め設定(洋画と同程度以上) |
• パノラマチェンジ:室内で観客に広い視野にわたる実景を体験させる展示手法
• ジオラマチェンジ:展示物を起き上がらせて観客に立体的な臨場感を与える展示手法
• ホワイトキューブ:展示作品を阻害するような装飾や色を排除した展示空間
8. 収蔵・搬入部門の計画
- 収蔵庫は年間を通じ一定の温湿度を維持。外壁躯体と内壁の間に空調層を設け、外部の温湿度変化の影響を受けないようにする
- 内装仕上げ材には杉・スプルースなどの針葉樹が適する。マツや日本の油脂分の多い木材は収蔵品に悪影響を与えるおそれがあるため避ける
- 収蔵・展示室の消火設備は水による被害を考慮し不活性ガス消火設備を採用
- 搬入口は展示室と直結させ、作業に必要なスペースを確保する
- 展示室が1階以外にある場合は、短い動線で搬入できるよう荷物用エレベーターを搬入口付近に設置
- 燻蒸室(くんじょうしつ):収蔵品を虫・カビ等から守るための消毒設備。搬入口と収蔵庫の間に設ける
- 収蔵品の調査研究のため、調査研究部門は収蔵部門の近くに配置する
- シーズニング期間:コンクリート脱型から開館するまでの期間。延べ面積1万 m² 規模では、仕上げ工事期間12か月を見込み、コンクリート打設完了から開館まで約20か月(最低1年8か月)が目安
9. 著名美術館・博物館建築(過去問頻出)
| 建物名 | 設計者・所在 | 試験で押さえるポイント |
|---|---|---|
| 水戸芸術館 | 磯崎新設計、茨城県 | コンサートホール・劇場・美術ギャラリーが独立性を保ちつつ共通エントランスホールで融合した文化複合施設 |
| 金沢21世紀美術館 | 妹島和世・西沢立衛(SANAA)設計 | 市民交流ゾーンと展覧会ゾーンを合わせた円形の建物。裏表のない4つのエントランス。各展示室が異なるプロポーション。建物端部から端部まで見通せる廊下 |
| 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 | 谷口吉生設計、香川県 | 1階に図書館、2〜4階に美術館を積層した複合施設。駅前広場に面し、駅前部分に入口を持つ |
| 秋田県立近代美術館(未来の森ミュージアム) | 伊東豊雄設計 | 公園の一角に建ち、ボリュームを抑えるため半分埋設。1階に展示室、2階にエントランス、最上部に収蔵庫 |
| 海の博物館 | 内藤廣設計、三重県 | 収蔵庫にプレキャストコンクリート・ポストテンション工法。展示棟は木造+RC混構造。空調設備だけに頼らず建築的工夫で保存環境を実現。床仕上げは三和土(たたき) |
| 東京国立博物館 本館 | 東京都上野 | 日本最大の博物館。日字型平面。展示壁面長さ1700 m を備える |
| グッゲンハイム美術館(ニューヨーク) | フランク・ロイド・ライト設計、米国 | 螺旋スロープの展示動線。来館者はエレベーターで最上部へ上がり、作品を鑑賞しながら自然に下へ導かれる。有機的建築の代表作 |
| グッゲンハイム美術館(ビルバオ) | フランク・ゲーリー設計、スペイン | 彫刻的な有機的形態。中央アトリウムを囲むように展示空間を配置。ニューヨーク版とは全く別の建物 |
| アスペン美術館 | 坂茂設計、米コロラド州 | 木製ルーバーを加工した材でアンダースクリーンを形成し、ガラスカーテンウォールを覆う箱型 |
| キンベル美術館 | ルイス・カーン設計、米テキサス州 | コンクリートボールト屋根を持つ細長いユニットを約3×6配置。屋根頂部からの自然光が反射板に当たり、間接照明として館内を照らす |
| ポーラ美術館 | 神奈川県箱根 | 周囲の景観を損なわないよう建築物の大部分を地下に埋設。中心を貫くアトリウムにより自然光を取り込む |
| 豊島美術館 | 香川県豊島 | 鉄筋コンクリートのシェル構造。柱1本もない。屋根の2つの大きな開口部から周囲の風・音・光を内部に直接取り込む |
| ロサンゼルス現代美術館(MOCA) | 磯崎新設計、米カリフォルニア州 | 赤砂岩の外壁を持つ基壇部の上にピラミッド型トップライト等が配置 |
| フォートワース現代美術館 | 安藤忠雄設計、米テキサス州 | 平行に並べられた長方形の室で展示室を構成。深い庇で日差しに配慮。隣接するキンベル美術館の静寂な空間性に対し、外との繋がりと水平性を重視した設計 |
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