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【Vol.043】【1級建築士・施工】地業工事を完全攻略|既製杭・場所打ち杭の孔壁保護と施工管理 | 建築士試験サポ塾

【Vol.043】【1級建築士・施工】地業工事を完全攻略|既製杭・場所打ち杭の孔壁保護と施工管理

建築士試験サポ塾 / 施工 第7回

1級建築士試験「施工」科目の第7回は、地業工事(杭工事)を徹底解説します。

既製杭(セメントミルク工法・中掘り工法)と場所打ちコンクリート杭(アースドリル工法・オールケーシング工法)を、「孔壁保護をどう行うか」という視点で整理すると、各工法の違いが格段にわかりやすくなります。

試験頻出の数値・ポイントを中心に、本番で確実に得点できるよう徹底まとめています。

この記事の内容は講義動画でも詳しく解説しています。

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📋 目次

  1. 地業工事(杭工事)の全体像
  2. 既製杭工法の概要
  3. 打ち込み工法 vs 埋め込み工法
  4. セメントミルク工法(プレボーリング工法)
  5. 中掘り工法(回転貫入工法)
  6. 場所打ちコンクリート杭の概要
  7. アースドリル工法
  8. オールケーシング工法
  9. リバースサーキュレーション工法・サンドコンパクションパイル工法
  10. 杭工事共通事項
  11. 余掘り・余盛り・高止まり
  12. 実力チェック(○×問題)

1. 地業工事(杭工事)の全体像

地業工事は「基礎工事」の一部であり、施工科目では主に杭工事を指します。住宅でも杭基礎が増えており、試験でも頻繁に出題される重要テーマです。

杭工事の2大分類

分類 概要 代表工法
既製杭 工場で製造した杭を現場に搬入し、埋め込むか打ち込む セメントミルク工法、中掘り工法
場所打ちコンクリート杭 現場で穴を掘り、鉄筋かごを挿入してコンクリートを打設し杭を造成する アースドリル工法、オールケーシング工法
【学習の視点】孔壁保護に着目せよ
深く穴を掘ると途中で孔壁が崩れる危険があります。各工法がどのように孔壁保護を行っているかを意識して学習すると、工法の違いが体系的に理解できます。

2. 既製杭工法の概要

既製杭の代表はコンクリート杭鋼管杭です。施工方法は大きく「打ち込み工法」と「埋め込み工法」の2種類に分かれます。

【注意】施工科目における分類の視点
構造科目では「支持杭 vs 摩擦杭」という分け方をしますが、施工科目では「既製杭(打ち込み or 埋め込み)か、場所打ち杭か」という分け方が基本です。混同しないようにしましょう。

3. 打ち込み工法 vs 埋め込み工法

項目 打ち込み工法 埋め込み工法
工法概要 ハンマー等で杭を打ち込む アースオーガで掘削しながら埋め込む
騒音・振動 大きい 小さい
杭の中心間隔 杭径の2.5倍以上かつ75cm以上 杭径の2倍以上
現在の主流 現在はあまり実施されない 現在の主流(試験出題多い)
【ポイント】落下高さの制限(打ち込み工法)
パイルハンマーのラム落下高さ・ドロップハンマーのハンマー落下高さは2m以下とする。高すぎると杭が傷ついたり傾く恐れがあるため。
【ポイント】中心間隔の覚え方
埋め込み工法:杭径の2倍以上(杭と杭の間にもう1本入るイメージ)
打ち込み工法:杭径の2.5倍以上かつ75cm以上(打ち込みは芯ずれが起きやすいので、より広く)

4. セメントミルク工法(プレボーリング工法)

既製杭の代表選手で、試験に最もよく出る工法です。「プレボーリング」とも呼ばれ、事前(プレ)に穴を掘る(ボーリング)ことからこの名があります。

セメントミルクとは

セメント+水を混ぜたもの(砂なし)。目的は孔壁保護周面摩擦力の発生。セメントミルクが固まると杭と周囲の地盤が一体化し、周面摩擦力が確保されます。

施工順序と孔壁保護のしくみ

手順 内容
①掘削開始 アースオーガ(杭径+100mm)で支持層+1.5m余計に掘削
②根固め液注入 アースオーガヘッド先端から根固め液(セメントミルク)を注入し、先端部をソイルセメント化
③引き上げながら充填 正回転のまま引き上げ。途中から孔壁固定液に切り替えて注入
④既製杭を圧入・挿入 根固め液・孔壁固定液が固まらないうちに既製杭を挿入し、軽く打撃して設置完了
【重要】アースオーガの回転方向
掘削時・引き上げ時ともに正回転。逆回転にすると孔壁が崩れたり土がこぼれる。

既製杭の共通管理事項

項目 規定
支持層到達確認 掘削機の積分電流値の変化で読み取る(N値との定量的な関係はない
支持地盤到達確認の本数 全数確認(抜き取りではない)
根固め液管理試験 グラウトプラントで練り混ぜたものを使用
孔壁固定液管理試験 作孔口からオーバーフローした液を使用可
継手接続(既製杭同士) 原則として溶接継手とする
継手部の開先の余盛量 2mm以下
継ぎ上げできるルーズ間隔 4mm以下
養生期間(杭頭処理まで) 建て込み後7日間程度養生してから杭頭処理
【ポイント】電流値とN値の関係
支持層到達確認は積分電流値の変化で読み取るが、電流値からN値に換算することはできない。試験でよく「N値に換算した」という誤りの選択肢が出るので注意。

5. 中掘り工法(回転貫入工法)

先端解放した鋼管(PHC杭など)の中空部にアースオーガを挿入し、杭先端の地盤を掘削しながら杭を圧入する工法です。

中掘り工法の特徴

項目 内容
孔壁保護 杭自身が孔壁を保護するため孔壁固定液は不要(根固め液のみ必要)
鋼管杭の肉厚 10〜25mm程度
PHC杭の肉厚 70〜100mm程度
周面摩擦力と杭長 杭が長くなると周面摩擦力が大きくなり、埋め込みが困難になるケースがある
摩擦力軽減対策 杭先端にフリクションカッター(リング状・円筒状)を装着
【ポイント】SL杭(負の摩擦力対応)
杭の表面にSLコンパウンド(特殊アスファルト混合物)を塗布して、地盤との間に滑り層を設けることで、地盤沈下に伴い生じる負の摩擦力を低減できる。すべての品種の杭に適用可能。

6. 場所打ちコンクリート杭の概要

現場で穴を掘り、鉄筋かごを挿入してコンクリートを打設し、杭を現場で造成する工法です。

場所打ちコンクリート共通事項

項目 規定
単位セメント量(水中・泥水中打設) 330 kg/m³以上
単位セメント量(空気中打設) 270 kg/m³以上
気温による強度補正 原則行わないが、管杭(地中温度が低い)の場合は補正することもある
杭の長さが設計と異なる場合 鉄筋かごの長さは最下段の鉄筋で調整
杭の先端根入れ深さ 一般に支持層に1m以上根入れする
帯筋の接続(フレアグルーブ溶接) 片面溶接:10D以上、両面溶接:5D以上
主筋相互の空き 10cm以上。10cm未満になる場合は2本束ねる
主筋と帯筋の接合 溶接禁止、点で結束する
補強リングの接合 主筋への断面欠損を起こさないようにして点付け溶接OK
養生期間(杭頭処理まで) コンクリート打設後14日間程度(既製杭の7日間と混同注意)
【重要】養生期間の違い(頻出)
既製杭:建て込み後7日間程度
場所打ちコンクリート杭:コンクリート打設後14日間程度
場所打ちはコンクリートを現場打設するため養生期間が長い。混同しやすいので必ず区別して覚えること。

7. アースドリル工法

場所打ちコンクリート杭の代表選手です。アースドリルで地盤を掘削し、孔内に鉄筋かごを挿入してコンクリートを打設します。

孔壁保護のしくみ

  • 表層部:表層ケーシング(長さ3m程度の鉄製の筒)を使用
  • それより深い部分:ベントナイト液(安定液 = 粘土鉱物+水)で孔壁全体を保護

ベントナイト液の性質

【重要】ベントナイト液の要件
最終的にコンクリートと置換(排出)されるため:
低粘性(粘着力がなく孔壁に付着しない → 置換しやすい)
低比重(軽いため浮き上がりやすく、コンクリートで置換しやすい)
「高粘性・高比重」は誤りとなる選択肢なので注意。

スライム処理

掘削孔底に溜まる泥やドロドロした土の成分(スライム)はコンクリートと混ざると強度が低下するため除去が必要。場所打ちコンクリート杭で特に重要な工程です。

処理 タイミング 方法
一次スライム処理 底ざらいバケットに交換後(鉄筋かご挿入前) 大型バケットでざっくり除去
二次スライム処理 鉄筋かご挿入後、コンクリート打設直前 トレミー管+高圧空気・高圧水ホースで底から吸い上げ
【ポイント】底ざらい後の先端深度測定
底ざらい実施直後に行う掘削孔の先端深度は、重錘と検尺テープを用いて孔程の中心を含めた複数点(一般に4点以上)で測定する。1箇所だけでは周辺部のスライムが残っている場合に見落とすリスクがある。

コンクリート打設(トレミー管)

  • トレミー管の先端は常にコンクリート中に2m以上入った状態を保持しながら打設
  • コンクリートが上昇するにつれてベントナイト液はコンクリートと置換され、外側に押し出される

8. オールケーシング工法

杭の全長にわたりケーシングチューブ(鉄製の筒)を建て込んで孔壁を完全に保護する工法です。

アースドリルとの主な違い

項目 アースドリル オールケーシング
孔壁保護 表層ケーシング+ベントナイト液 全長ケーシングチューブのみ(ベントナイト液不要)
掘削機器 ドリリングバケット、ケリーバー ハンマーグラブ(クレーンで吊り上げ・落下)
スライム処理 必要(一次・二次) 必要(清水を入れポンプで吸い上げ)
ケーシングの処置 表層ケーシングは最後に抜く コンクリート打設しながら引き抜く
【重要】オールケーシングのトレミー管とケーシングの引き抜き条件
トレミー管の先端:常にコンクリートに2m以上入った状態を確認
ケーシングチューブの下端:コンクリートに2m程度以上入った状態を保持しながら引き抜く
【掘削機器の選び方】
ドリリングバケット(回転式)→ 粘性土・砂質土など比較的軟らかい地盤に適する
ハンマーグラブ(落下・爪開閉式)→ 玉石混じりの土・砂・崩れやすい地盤に適する

9. リバースサーキュレーション工法・サンドコンパクションパイル工法

リバースサーキュレーション工法

大口径・大深度の場所打ち杭に用いられる工法。回転ビットで地盤を掘削し、掘削土砂を孔程から吸引・排出します。排出した泥水は地上で土砂のみを除去して再び孔内に戻す(リバース)のが特徴です。

【ポイント】孔壁保護の方法
孔内水位を地下水位より常に2m以上高く保つことで、静水圧により孔壁を安定させる(ベントナイト液不要)。地下水位を常に確認しながら施工することが重要。

サンドコンパクションパイル工法

振動を利用して地盤内に砂の柱(砂杭)を造成し、周囲の地盤を締め固めて安定化を図る地盤改良工法です。

【特徴】
・粘性土・砂質土どちらにも適用可能
・液状化が懸念される地盤の改良にも有効
・比較的安価な地盤改良工法
※土工事の排水工法(サンドドレーン工法)と混同しないように注意

10. 杭工事共通事項

施工の基本ルール

項目 内容
試験杭 最初に施工する本杭を試験杭とする(別途試験杭を打つわけではない)
打ち込み順序 群の中心から外側へ向かって打ち進める(外側から中心へは×)
曲げモーメントが最小となる点 2点支持の場合:杭の両端から1/5ずつ(1/3ではない)

既製コンクリート杭の施工精度

項目 許容値
鉛直精度 1/100以内
杭頭の芯ずれ量 杭径の1/4かつ100mm以内
継手部の開先の芯ずれ 2mm以下
継ぎ上げできるルーズ間隔 4mm以下
仮付け溶接の長さ 40mm以上(点付けは不可)

超音波孔壁測定器

鉄筋かご挿入前に測定用パイプを仕込んでおき、コンクリート打設後に杭の鉛直精度や杭径を確認する機器です。

【重要】超音波孔壁測定器でできないこと
孔壁の崩壊の有無・水平方向の変位はある程度確認できるが、支持層の土質は確認できない。土質確認はボーリング調査・標準貫入試験等で行う。

11. 余掘り・余盛り・高止まり

余掘り(よぼり)

支持層に余計に深く掘ること。支持層にプラス1.5m程度掘削します(根入れ1m以上+汚れ除去分50cm以下)。

余盛り(よもり)

水中・泥水中でコンクリートを打設すると、上部がレイタンスやスライムと混じって品質が低下するため、余分にコンクリートを打設すること。

項目 目安
余盛りの量 50cm〜100cm(5〜10cmではなく50〜100cmと大きい量)
処理方法 根切り底から10cmほど上でカットして除去

高止まり

打設した杭の天端が設計より高い位置で止まってしまう現象。地層に強固な層がある場合に生じやすく、発生した場合は杭をカットするしかありません。

余盛りが許容範囲(50cm)を超えることも高止まりと言います。

✅ 実力チェック|○×問題

各問題が正しければ○、誤りであれば×で答えてください。

問1.セメントミルク工法において、アースオーガの引き上げ時は逆回転とする。
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→ アースオーガは掘削時・引き上げ時ともに正回転とする。逆回転にすると孔壁を破壊したり、土がこぼれる恐れがある。

問2.既製杭埋め込み工法における杭の中心間隔は、杭径の2.5倍以上とする。
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→ 埋め込み工法の中心間隔は杭径の2倍以上。2.5倍以上(かつ75cm以上)は打ち込み工法の規定。

問3.セメントミルク工法による規制杭工事において、支持層への到達確認は、掘削機の積分電流値の変化で読み取り、電流値からN値に換算する。
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→ 到達確認は積分電流値の変化で読み取るが、電流値とN値には定量的な関係がなく換算はできない。

問4.場所打ちコンクリート杭に使用するコンクリートの単位セメント量は、泥水中で打ち込む場合は330 kg/m³以上とする。
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→ 水中・泥水中での打設は330 kg/m³以上。空気中は270 kg/m³以上。水中では品質確保のため多めに設定されている。

問5.場所打ちコンクリート杭の鉄筋かごにおいて、主筋と帯筋は溶接して接合する。
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→ 主筋と帯筋は溶接禁止。断面欠損が生じるため点で結束する。ただし補強リングと主筋の点付け溶接はOK。

問6.アースドリル工法において、孔壁保護に用いるベントナイト液は、コンクリートとの置換を考慮して低粘性・低比重のものとする。
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→ 低粘性(孔壁に付着しない)・低比重(軽いため浮き上がりやすく置換しやすい)であることが必要。

問7.アースドリル工法において、底ざらい実施直後の掘削孔先端深度の確認は、重錘と検尺テープを用いて孔程の中心1箇所で測定した。
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→ 中心1箇所は不十分。孔程の中心を含む複数点(一般に4点以上)で測定する。周辺部にスライムが残ることがあるため。

問8.オールケーシング工法では、コンクリートの打ち込み時にケーシングの引き抜きは、ケーシングの下端がコンクリート天端より常に2m程度以上入った状態を保持しながら行う。
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→ トレミー管もケーシングも、コンクリートに2m以上入った状態を保持しながら引き抜く。コンクリートの品質確保のため。

問9.場所打ちコンクリート杭の杭頭処理は、コンクリート打設後一般に7日程度経過した後に行う。
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→ 7日は既製杭の養生期間。場所打ちコンクリート杭の場合は14日程度経過した後に杭頭処理を行う。

問10.規制コンクリート杭群の打ち込みは、群の外側から中心へ向かって打ち進める。
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→ 中心から外側へ向かって打ち進める。外側から中心へ打つと、地盤が締まってしまい中心部の打ち込みが困難になる。

問11.帯筋のフレアグルーブ溶接において、片面溶接の場合は5D以上、両面溶接の場合は10D以上とする。
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→ 逆。片面溶接は10D以上、両面溶接は5D以上。片面の方が溶接長さをより長く確保する必要がある。

問12.超音波孔壁測定器は、杭の鉛直精度や杭径の確認に加え、支持層の土質の確認にも使用できる。
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→ 超音波孔壁測定器では支持層の土質を確認することはできない。土質の確認はボーリング調査・標準貫入試験で行う。

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