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【Vol.032】【1級建築士・計画】都市計画①を完全攻略|近隣住区・歩車分離・交通システム・防犯計画・都市論まで用語を一気に整理

【Vol.032】【1級建築士・計画】都市計画①を完全攻略|近隣住区・歩車分離・交通システム・防犯計画・都市論まで用語を一気に整理

建築士試験サポ塾 / 計画 第8回

都市計画は毎年2問出題されるにもかかわらず、範囲が広く用語が紛らわしい難テーマです。「ラドバーンとボンエルフ」「パーク&ライドとフリンジパーキング」「BIDとCBDとDID」など、一文字違いで意味が真逆の用語が頻出します。この記事では試験頻出の用語と概念を体系的に整理し、引っかけ問題のパターンまで解説します。
🎥 この記事の講義動画はこちら▶ 建築士試験サポ塾 LIVE講義「計画」第8回「都市計画①」

① 近隣住区理論

CAペリーが提唱した近隣住区(ネイバーフッドユニット)は、「小学校1校が成立する程度の人口を単位とした都市計画の基本単位」です。

近隣住区の規模:
面積:約1km×1km(100ha)、行動半径:約500m
幹線道路は外周に配置し、内部は生活道路のみとします。
スケール 単位 施設の目安
小(近隣分区) 近隣住区よりも小さい 幼稚園・保育園1校が成立
中(近隣住区) 半径500m・1km×1km 小学校1校が成立
大(地区) 近隣住区の数倍 中学・高校1校が成立
代表例の覚え方:「ハロー千里」
・ハロー=ハーロウ(Harlow)ニュータウン(英国)
・千里=千里ニュータウン(大阪)
この2つが近隣住区理論の代表例です。

② 都市公園の分類

分類 種類 行動半径 標準面積
住区基幹公園 街区公園 250m 0.25ha
近隣公園 500m 2ha
地区公園 1km 4ha
都市基幹公園 総合公園・運動公園 都市全域 10〜50ha程度
広域公園 広域公園・国営公園 市町村域を超える 50ha以上
覚え方:「近隣公園の行動半径=近隣住区の規模(500m)」で一致します。まず中段の「近隣公園:500m・2ha」を覚えて前後に広げてください。

③ 歩車分離と歩車共存

手法 考え方 提唱者 キーワード
ラドバーン方式 歩車分離(完全分離) クラレンス・スタイン+ヘンリー・ライト スーパーブロック、クルドサック、ペデストリアンデッキ
ボンエルフ 歩車共存 オランダ発祥 シケイン(道をくねらせる)、ハンプ(路面の凹凸)
頻出ひっかけ:「シケインやハンプを使うのはラドバーン方式」は誤り。シケインとハンプはボンエルフ(歩車共存)の手法です。ラドバーンは完全分離です。

④ モールの分類

種別 特徴
フルモール 歩行者専用。一般車両の通行を全て禁止。
セミモール 幅広い歩行者空間+抑制された自動車通行路が共存。
トランジットモール 一般車両を排除し、路面電車・バスなど公共交通機関のみ通行を認める。
頻出ひっかけ:「一般車両を排除して路面電車やバスを通行させるモール=セミモール」は誤り。これはトランジットモールです。

⑤ 交通システム(BRT・LRT・TOD)

BRT(Bus Rapid Transit)
バス専用道路を活用した連接バスによる高輸送能力の交通システム。ブラジル・クリチバが有名な事例。横浜・神戸でも運行中。
LRT(Light Rail Transit)
低床式路面電車。排気ガスがほぼなく環境性能が高い。富山・福井・広島などで運行。「ちんちん電車の現代版」と覚えてください。
TOD(Transit-Oriented Development)
公共交通機関の利用を前提とした、自動車に依存しない持続可能な都市開発手法。LRTやBRTはTODを実現するシステムの1つ。
ITS(Intelligent Transport System)
最先端の情報通信技術を用いて交通事故や渋滞などの道路交通問題を解決する交通システム。
MaaS(Mobility as a Service)
飛行機・電車・バス・タクシーなど複数の交通サービスを、スマホアプリ1つで一括予約・決済できる仕組み。

⑥ 駐車システム(パーク&ライド vs フリンジパーキング)

用語 駐車場の位置 仕組み
パーク&ライドシステム 都市の郊外 郊外の駐車場まで自家用車で行き、そこから公共交通機関で都心へ移動。
フリンジパーキング 都市の中心部の周辺(フリンジ) 都市中心部の周辺の駐車場に停め、そこから公共交通機関で中心部へ移動。
キス&ライド 家族などが自動車で最寄り駅・停留所まで送迎する交通形態。
頻出ひっかけ:パーク&ライドは「郊外」、フリンジパーキングは「都市内の周辺部」。この位置関係が試験で入れ替わります。

⑦ スマートシティ関連用語

用語 概要
スマートシティ IoT等を活用してマネジメントが行われ、最適化された持続可能な都市または地区。
IoT(Internet of Things) 家電・車などをインターネットで接続し遠隔操作・制御できる仕組み。
スマートグリッド 電力の流れを「見える化」して制御する次世代電力供給システム。電気に関する技術
タウンモビリティシステム 中心市街地をバリアフリー化し、車椅子・電動スクーターを貸し出して高齢者・障害者の外出を支援する仕組み。
エリアマネジメント 住民・事業主・地権者などが主体的に(官でなく民が主体)地域の良好な環境を維持・向上させる取り組み。香川県高松市が有名。
頻出ひっかけ:スマートグリッドを「エネルギー全般の管理」や「インターネット通信」と混同する問題が出ます。スマートグリッドは電力(グリッド=電力網)の見える化です。

⑧ コンパクトシティ・都市スプロール関連

用語 国/地域 概要
コンパクトシティ ヨーロッパ 市街地の無秩序な拡大(スプロール)を抑制し、都市機能を集約した効率的な都市構造。
アーバンビレッジ 英国 都市の中にある近隣コミュニティ。コンパクトシティと同義。
ニューアーバニズム 米国 スプロールを抑制する新しい都市計画の思想。コンパクトシティと同義。
ワンセンター方式 中心地区に商業・利便施設を集中配置し、そこからペデストリアンデッキが分岐する方式。代表例:高蔵寺ニュータウン(愛知県)。
タウンゾーニング 現行の建築基準法より厳しい規制に変更して無秩序な開発を制限する手法。
2地域居住 都市住民が農村・漁村などにも同時に生活拠点を持つこと。

⑨ 防犯計画

用語 提唱者 概要
CPTED(防犯環境設計) 心理学的効果を考えた設計で犯罪抑止力を高める手法。街灯設置・防犯カメラ・花壇の世話義務化なども含む。
ディフェンシブルスペース オスカー・ニューマン 物理的・心理的な消壁と見通しの良さを持ち、住民が自分たちの場所と感じられる「守りやすい空間」。
割れ窓理論 建物の窓が割れたまま放置されると管理不在と判断されスラム化が進むというメカニズム。環境イメージの悪化が犯罪を誘発する。
ゲーテッドコミュニティ フェンス・壁で囲い、ゲートで住民以外の出入りを制限した居住地区。
プルーイット・アイゴー 1950年代米国に建設された低所得者向け集合住宅。設計上の問題でスラム化し犯罪が増加。1972年に解体された失敗事例
インナーシティ問題 都市が拡大する過程で都心周辺部(インナーシティ)の住環境が悪化し夜間人口が減少する現象。
ジェントリフィケーション 低所得者が住む地域に高所得者が住み始め地域の質が向上する一方、元の低所得者が住みにくくなる「都市の貴族化現象」。

⑩ 都市論の系譜(時代順)

年代 理論・著書 提唱者 キーワード
1898年 田園都市論 エベネザー・ハワード(英) 都市と田園の利点を統合。グリーンベルト・自立した小都市。実例:レッチワース、ウェリンガーデンシティ
1929年 近隣住区理論 C.A.ペリー(米) 小学校1校・半径500m・幹線道路は外周
1933年 アテネ憲章 CIAM・ル・コルビュジエ(仏) 都市を居住・労働・余暇・交通の4機能で分離・整理
1960年 都市のイメージ ケビン・リンチ(米) 都市の読みやすさ(レジビリティ)。5要素:パス・エッジ・ディストリクト・ノード・ランドマーク
1961年 アメリカ大都市の死と生 ジェーン・ジェイコブス(米) アテネ憲章を批判。多様性・街路の目・4つの条件
1972年 ラスベガスから学ぶ ロバート・ベンチューリ(米) ラスベガスの派手な看板文化から建築の記号性を学べと主張
1977年 パターンランゲージ クリストファー・アレグザンダー 過去の事例から导き出した設計パターンの言語化。実例:埼玉県川越一番街
1978年 デリリアスニューヨーク レム・コールハース(蘭) マンハッタンの混沌・過密・欲望を「マンハッタニズム」として肯定的に評価
頻出ひっかけ:「田園都市論=CAペリー」は誤り。田園都市論はエベネザー・ハワード。CAペリーは近隣住区理論です。

DID・CBD・BIDの区別

略語 正式名称 意味
DID 人口集中地区 人口密度4,000人/km²以上の基本単位区が隣接し5,000人以上となる地区。国勢調査の統計上の指標。
CBD 中心業務地区 都市の中心部でオフィスが集中している地区。
BID Business Improvement District 地区内の不動産所有者・事業者から徴収した負担金で、オープンスペースの維持管理・治安改善・マーケティングを行う仕組み。

✅ 理解チェック|○×問題

各問題が正しければ○、誤りであれば×で答えてください。

住宅団地の道路計画において、歩車共存を目的としてスーパーブロックとクルドサックを採用した計画をボンエルフという。
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×

→ 誤り。スーパーブロック・クルドサックはラドバーン方式(歩車分離)のキーワードです。歩車共存の手法はボンエルフ(シケイン・ハンプ)です。
トランジットモールは、一般自動車の通行を排除して路面電車やバスなどの公共交通機関に限って通行を認めたモールである。
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→ 正しい。トランジットモールの定義そのものです。セミモールと混同しないこと。
近隣住区理論を提唱したのはエベネザー・ハワードであり、その代表例として千里ニュータウンが挙げられる。
▶ 答えを見る
×

→ 誤り。近隣住区理論の提唱者はC.A.ペリーです。エベネザー・ハワードは田園都市論の提唱者。千里ニュータウンが代表例なのは正しい。
パーク&ライドシステムは、郊外に設置された駐車場まで自家用車で行き、そこから公共交通機関を利用して都市部へ向かう仕組みである。
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→ 正しい。駐車場が「郊外」にある点がポイント。都市内の周辺部に駐車場があるのはフリンジパーキングです。
スマートグリッドとは、IoT技術を活用して複数の建築物のエネルギーを一元管理するシステムである。
▶ 答えを見る
×

→ 誤り。スマートグリッドは電力(電力網)の流れを見える化・制御するシステムです。エネルギー全般の管理やIoT一般の話ではありません。
エリアマネジメントとは、行政主導により地域の良好な環境を維持・向上させるための取り組みである。
▶ 答えを見る
×

→ 誤り。エリアマネジメントは住民・事業主・地権者などが主体的に行う取り組みです。行政主導ではありません。
プルーイット・アイゴーは1950年代に建設された低所得者向けの集合住宅で、スラム化・犯罪増加という問題が生じ1972年に解体された失敗事例である。
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→ 正しい。防犯計画の「悪い事例」として覚えてください。「犯罪発生率の大幅な低下を実現した」という誤った選択肢に引っかからないよう注意。
ケビン・リンチの「都市のイメージ」では、都市のイメージを形成する要素として「パス・エッジ・ディストリクト・ノード・ランドマーク」の6要素を挙げている。
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×

→ 誤り。ケビン・リンチが挙げた都市のイメージ要素は5要素です。
「アメリカ大都市の死と生」はロバート・ベンチューリが著したもので、アテネ憲章の機能分離思想を擁護している。
▶ 答えを見る
×

→ 誤り。「アメリカ大都市の死と生」の著者はジェーン・ジェイコブスで、アテネ憲章を批判しています。ロバート・ベンチューリは「ラスベガスから学ぶ」の著者。
高蔵寺ニュータウン(愛知県)は、近隣住区理論によらず中心地区に商業・利便施設を集中させるワンセンター方式を採用した事例である。
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→ 正しい。「高蔵寺ニュータウン=ワンセンター方式」で覚えてください。ハーロウ・千里ニュータウンは近隣住区理論の代表例です。
DID(人口集中地区)は人口密度が1,000人/km²以上の基本単位区が隣接し、合計人口が5,000人以上となる地区に設定される。
▶ 答えを見る
×

→ 誤り。DIDの基準は人口密度4,000人/km²以上です。1,000人ではありません。
広域公園は1つの市区町村の区域内の住民を対象とした面積10ha以上の公園である。
▶ 答えを見る
×

→ 誤り。広域公園は市町村の区域を超える広域のレクリエーション需要に対応する、面積50ha以上の大規模な公園です。

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