Vol.048 / 施工 第12回 / 2026.06.14
【Vol.048】【1級建築士・施工】鉄骨工事①を完全攻略|鋼材の種類・溶接・高力ボルトの要点まとめ
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1. 鋼材の種類(SS・SM・SN)
構造用圧延鋼材は大きく SS・SM・SN の3種類に分類されます。
| 記号 | 名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| SS | 一般構造用圧延鋼材(Steel Structure) | 最も基本的な鋼材。溶接には不向き。 |
| SM | 溶接構造用圧延鋼材(Steel Marine) | 溶接に特化。造船用途から発展。 |
| SN | 建築構造用圧延鋼材(Steel New) | 最も新しい。B種・C種は溶接性に優れ、柱・梁・筋かいに使用。 |
SN材の種別ポイント
SN400B・SN490B:降伏点の上・下限+降伏比が規定。溶接性・変形能力が保証される。柱・梁・筋かいに使用。
SN400C・SN490C:厚さ方向に大きな引張応力を受ける部材(ダイアフラムなど)に使用。
2. 角形鋼管(BCP・BCR・STKR)
性能の高い順:STKR(捨てカン)< BCR(びっくり)< BCP(ビッグパパ)
| 記号 | 製法 | 数値の意味 | 備考 |
|---|---|---|---|
| BCP | プレス→溶接(1〜2箇所、CM溶接) | 降伏点の下限値(235・325) | 400〜900角、SN材相当 |
| BCR | ロール曲げ→溶接(1箇所) | 降伏点の下限値(295など) | 250〜500角 |
| STKR | ロール曲げ→溶接 | 引張強度(400・490) | 構造的な性能保証なし。柱・台風梁など。 |
BCP板厚 12mm以上:降伏点の上限も規定+シャルピー衝撃値の下限値も規定。
3. 鉄骨製作工場のグレード
グレードは J → R → M → H → S(ジュニア→レギュラー→ミディアム→ハイ→スーパー)の順に性能が高くなります。
Mグレードの製作範囲(試験頻出)
・400級・490級の炭素鋼で板厚 40mm以下 まで製作可能。
・作業条件:溶接は原則下向きまたは横向き(上向き溶接は不可)。
・Hグレードは板厚 60mm以下 まで製作可能。
また、板厚 6mm以上 を重量鉄骨、6mm未満 を軽量鉄骨と呼びます。
4. 溶接の基礎知識
溶接用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| ベベル角度 | 溶接面の垂直ラインと斜め部分のなす角度(面取り角度) |
| 開先角度 | V字部分全体の角度(ベベル角度×2) |
| ルート面 | 開先底部の平らな部分 |
| ルート間隔 | 対向する母材間の隙間 |
| エンドタブ | 溶接を端から端まで行うために継ぎ足す補助部材 |
| スカラップ | 溶接線を通すためにウェブなどに設ける切欠き(近年はノンスカラップが主流) |
| ビード | 溶接後に盛り上がった部分(溶着金属の列) |
組立溶接(仮溶接)のビード長さ
板厚 6mmを超える:ビード長さ 40mm以上
ショートビードは溶接割れの原因となるため注意!
溶接条件(温度・風)
| 条件 | 規定 |
|---|---|
| 気温 −5℃を下回る場合 | 溶接を行ってはならない |
| 気温 −5℃〜5℃ | 接合部より 100mm 範囲の母材を適切に加熱すれば可 |
| ガスシールドアーク溶接・風速 | 2m/s以上 の場合は溶接不可(防風措置をすれば可) |
| 溶接部の錆止め塗装禁止範囲 | 溶接部両側それぞれ 100mm |
| 錆止め塗装の中止条件 | 気温5℃以下 または 相対湿度85%以上 または 鋼材表面50℃以上 |
溶接の種類
| 種類 | 分類 | 特徴 |
|---|---|---|
| 被覆アーク溶接 | 手溶接 | 消耗電極式。アーク熱(約6000℃)を利用。 |
| ガスシールドアーク溶接 | 半自動溶接 | 炭酸ガスシールドで酸化防止。ソリッドワイヤは乾燥不要。 |
| サブマージアーク溶接 | 自動溶接 | 粒状フラックスと溶接ワイヤ使用。工場溶接が基本。溶込みが深いため裏はつりを省略できる場合あり。 |
| エレクトロスラグ溶接 | 自動溶接 | スラグ溶の抵抗熱を利用。ボックス柱のスキンプレート+ダイアフラムの溶接に使用。 |
完全溶込み溶接・隅肉溶接の規定
・段差 3mm以下:薄い方から厚い方へ溶接表面を滑らかに移行させる。
・段差 3mmを超える:厚い方をテーパー加工して段差を3mm以下にしてから移行。
隅肉溶接のサイズ(S):短い方(薄い方)の母材厚さに合わせる。有効のど厚=S×0.7
隅肉溶接の有効長さ:全長L として、有効長さ= L−2S(両端マイナス)
溶接余盛り高さの許容値
・溶接幅15mm未満:0〜3mm
・溶接幅15mm以上25mm未満:0〜4mm
入熱・パス間温度管理:多層パス溶接では各パス間を適切に冷却し、溶接入熱による強度低下を防止する。
5. 高力ボルト摩擦接合
すべり係数・摩擦面処理
※余裕の場合は 0.4以上。
摩擦面処理の方法:
①ショットブラスト・グリッドブラスト処理(50μmRz以上確保。赤錆不要)
②屋外に自然放置して薄い赤錆を発生させる
③塩酸(リン酸)処理による強制発錆
※亜鉛めっき部材の摩擦面:ブラスト処理またはリン酸処理のいずれかを行う。
ボルト穴の径(試験頻出)
| ボルト種別 | 径 d | 穴径の最大値 |
|---|---|---|
| 高力ボルト | d ≦ 27mm | d + 2mm |
| d > 27mm | d + 3mm | |
| 普通ボルト | d < 20mm | d + 1mm |
| d ≧ 20mm | d + 1.5mm | |
| アンカーボルト | 全径 | d + 5mm |
穴径精度:±0.5mm
ボルト中心間距離・端距離・へり空き
端あき:1.5d以上
へり空き:1.25d以上
6. 穴あけ加工・曲げ加工
穴あけ加工のルール
| 条件 | 加工方法 |
|---|---|
| 原則 | ドリル開け |
| 板厚13mm以下の一般穴 | せん断穴あけ可(バリ除去必要) |
| 高力ボルト用穴 | 板厚に関係なくドリル開け(工事現場での加工不可・工場で実施) |
| 工事管理者の承認がある場合 | レーザー穴あけも可 |
| 径30mm以上の大穴 | ガス切断使用可 |
鉄骨のフランジは耐力上重要なため、穴を開けると著しく耐力が低下する。
鉄筋貫通穴の径
例:D25 → 25×1.1+10 = 37.5mm → 38mm(切り上げ)
曲げ加工(内側曲げ半径)
| 部位・条件 | 内側曲げ半径 R |
|---|---|
| 柱材・梁・ブレース端部など(塑性変形能力要求部位)/応力方向が曲面に沿う方向 | 8t以上 |
| 柱材・梁・ブレース端部など(塑性変形能力要求部位)/応力方向が上記の直角方向 | 4t以上 |
| 上記以外 | 2t以上 |
なお、加熱加工を行う場合の赤熱状態は 850〜900℃。青熱脆性域(200〜400℃)での加工は禁止。
✅ 実力チェック|○×問題
各問題が正しければ○、誤りであれば×で答えてください。
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