サポ塾ブログ 施工

【Vol.060】【1級建築士・施工】各種改修工事を完全攻略|ひび割れ・欠損・浮き・防水・アスベスト対策まで徹底解説

建築士試験サポ塾 / 施工 第24回

【Vol.060】【1級建築士・施工】各種改修工事を完全攻略|ひび割れ・欠損・浮き・防水・アスベスト対策まで徹底解説

1級建築士の学科試験「施工」分野で毎年出題される各種改修工事。コンクリートのひび割れ・欠損・浮きの補修工法から、タイル・防水・塗装・シーリングの改修、さらにアスベスト対策工事まで、試験頻出のポイントを一気に整理します。

本記事はサポ塾ライブ授業(施工 第24回)の内容をもとに作成しています。数値・工法の判断基準を中心に、○×問題で知識を確認しましょう。

▼ ライブ授業アーカイブはこちら(YouTube)


【施工 第24回】各種改修工事|建築士試験サポ塾

この記事の内容

  1. コンクリート・モルタルのひび割れ補修
  2. コンクリート・モルタルの欠損補修
  3. モルタルの浮き部補修(アンカーピンニング)
  4. タイル張り仕上げの改修
  5. 塗装仕上げの改修
  6. 防水の改修
  7. シーリングの打替え
  8. 建具(サッシ)の被せ工法
  9. アスベスト対策工事
  10. その他の改修工事
  11. 実力チェック ○×問題(12問)

1|コンクリート・モルタルのひび割れ補修

ひび割れ幅の計測

ひび割れ幅の計測にはクラックスケールを使用します。目盛りに合わせてひび割れに当て、幅(mm)を読み取ります。

ひび割れ幅による補修工法の選択

ひび割れ幅 補修工法
0.2mm未満 シール工法(加熱性エポキシ樹脂・パテ状エポキシ樹脂をなじる)
0.2mm以上 1mm以下 エポキシ樹脂注入工法(手動式 or 自動式低圧)
1mmを超える or 挙動するひび割れ Uカット(Vカット)シール材充填工法
POINT|境界値を覚える
0.2mm1mm が判断の分岐点。この2つの数値を確実に押さえましょう。

エポキシ樹脂注入工法の注入方向

手動式:コーキングガンのような器具で手圧注入。
自動式低圧:プラスチック容器にゴムの弾性で加圧しゆっくり注入。約1mにつき4個程度のピッチで設置。

POINT|注入方向
鉛直方向のひび割れ下から上へ順次注入
水平方向のひび割れ:片端の注入口から他端へ順次注入
・注入完了後は硬化してから注入パイプを撤去(硬化前に速やかに撤去してはいけない)

エポキシ樹脂の粘度区分(近年出題)

ひび割れ幅 粘度区分 特徴
0.5mm未満 低粘度系(サラサラ) 細いひび割れに浸透しやすい
0.5mm以上 中粘度系 中程度のひび割れ向け
大きなひび割れ・浮き 高粘度系(ドロドロ) 流れ落ちにくく固定力大
注意|粘度と幅の組み合わせ
「幅 0.2mm以上0.5mm未満」に高粘度系を使用するのは誤り。この範囲は低粘度系を使用する。(過去問で出題済み)

2|コンクリート・モルタルの欠損補修

鉄筋が露出している場合の手順

  1. 露出鉄筋にワイヤーブラシ等で錆を除去
  2. 防錆剤を塗布
  3. モルタルを充填

欠損深さによる材料の選択

欠損深さ 使用材料
30mm以下(浅い) ポリマーセメントモルタル
30mmを超える(深い) エポキシ樹脂モルタル

欠損範囲による工法の選択(モルタルの場合)

欠損範囲 工法
0.25㎡以下(深さ30mm以下) ポリマーセメントモルタル充填
0.25㎡以下(深さ30mmを超える) エポキシ樹脂モルタル充填
0.25㎡を超える モルタル塗り替え(ステンレスラス・ネット貼り付け)
POINT|塗り厚の制限
モルタルの1回の塗り厚は7mm以下が原則。総塗り厚が25mm以上になる場合はステンレスアンカーピンを打ち込み、ステンレス製のラスやネットを貼ってモルタルを練り付ける。

3|モルタルの浮き部補修(アンカーピンニング工法)

浮きの有無は打診で確認(空洞部はカラカラと軽い音がする)。浮いているが落下していない場合は、アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法で固定します。

施工手順

  1. コンクリートドリルで先孔(穴あけ)
  2. 孔内を清掃
  3. エポキシ樹脂(接着剤)を注入
  4. ステンレス製アンカーピンを挿入(深さ:30mm程度

アンカーピンの本数(重要)

工法 一般部 指定部分(出隅等)
アンカーピンニング部分エポキシ注入 16本/㎡(4×4) 25本/㎡(5×5)
注入口付きアンカーピンニング部分エポキシ注入 9本/㎡(3×3) 16本/㎡(4×4)
覚え方:通常工法は 4×4=16本、指定部分は 5×5=25本 と「1段増やす」と覚えましょう。

4|タイル張り仕上げの改修

ひび割れ部の補修

タイル仕上げを撤去する場合は、ダイヤモンドカッターでタイル目地に沿って切り込みを入れ、健全部と縁切りしてから除去。補修はコンクリート補修に準じます。

張り替え下地処理の違い

使用材料 下地の状態
ポリマーセメントモルタル(セメント系) 下地を濡らす(吸水調整)
エポキシ樹脂(接着系) 下地を乾燥させる(濡らさない)
注意|モザイクタイルへの適用
注入口付きアンカーピンニングエポキシ樹脂注入タイル固定工法は小口タイル以上のサイズに限り適用可。モザイクタイルは適用不可(小さすぎてアンカーピンが打てない)。先孔はタイル中心に開け、構造体コンクリートに30mmの深さまで穿孔する。

5|塗装仕上げの改修

工法 内容・用途
薬液法(剥離剤) 剥離剤で化学的に軟化・膨潤させて除去。防水性塗装等の全面除去に適用
サンダー工法 電動サンダーで脆弱部を削り取る。部分劣化部の除去に使用
高圧水洗工法 水圧30MPa以上の高圧水を噴射。劣化部・付着物の除去に有効
デッキブラシ水洗 塗膜除去不要で塗り替えのみの場合に表面清掃として実施
POINT|チョーキング(白亜化)現象
塗膜が熱・紫外線・風などにより劣化し、表面から粉化する現象。指で触ると白い粉が付着する。経年した外装塗装でよく見られる劣化現象。

6|防水の改修

既存保護コンクリートの撤去

仕上げ台(防水層)に損傷を与えないよう、質量15kg未満のハンドブレーカーを使用して撤去する。大型機械による打撃は防水層を傷める。

ルーフドレン周りの処理(最重要)

平場部の既存防水を非撤去とする場合でも、ルーフドレン周り・立ち上がり部の防水層は必ず撤去する。
撤去後、ポリマーセメントモルタルで勾配(1/2程度)を整えてから新規防水を施す。

アスファルト防水の改修

工法 ポイント
密着工法 新規防水層の1層目のルーフィング張り完了で工程省略可
絶縁工法 2層目のルーフィング張り完了でシート省略可(1層目だけではNG)
既存防水層非撤去の場合 継ぎ目・浮き部はバーナーで加熱後、溶融アスファルトで張り合わせる

7|シーリングの打替え

既存シーリング材の除去は目地際に沿ってカッターで切り込みを入れ、できる限り撤去。サンダー掛けで清掃後、プライマー塗布→新規シーリング充填が原則。

POINT
既存シーリング材の断面形状が不足している場合は撤去後、ダイヤモンドカッターでメジ幅を確保してから新規充填する。

8|建具の被せ工法(カバー工法)

既存枠を残したまま内側に新規金属製建具を取り付ける方法。外壁を触らずに窓を入れ替えられるため、騒音・工期・コスト面で優れます。

項目 数値・条件
既存枠の最小厚み 1.3mm以上残っていること
端部の取付けピッチ 100mm
中間部の取付けピッチ 400mm以内(500mmは誤り)

9|アスベスト(石綿)対策工事

工法 別称 内容
除去工法 リムーバル工法 吹付けアスベストを下地から完全に取り除く。大規模改修時に適用
封じ込め工法 エンカプスレーション工法 薬剤を浸透・増膜させてアスベスト層を固化し、飛散を防止
囲い込み工法 カバーリング工法 ボード等で完全に覆い、使用空間への飛散を防止

除去作業時の廃棄物処理

  • 撤去した隔離シートはアスベスト繊維付着面を内側にして折りたたみ、密封処理
  • 特別管理産業廃棄物として処理
  • 厚さ0.15mm以上のプラスチック製耐水性袋に入れ、空気を抜いて密閉
  • 除去前に必ず固化または湿潤化(乾燥状態での除去は厳禁)

10|その他の改修工事

壁紙の張替え

防火材料認定が必要な場合、既存壁紙の裏打ち材も含めて完全撤去してから新規壁紙を貼る。裏打ちを残して貼り付けた場合、防火認定は受けられない。

合成樹脂塗り床の改修

  • 既存塗り床をモルタルごと一体で撤去(電動工具使用)
  • モルタルなし・コンクリート直仕上げの場合はコンクリート表面から3mm程度削り取る

軽量鉄骨天井下地の改修(インサート再使用)

既存埋込みインサートを再使用する場合は、引き抜き試験400Nの引き抜き力に耐えることを3箇所確認すれば再使用可。

コンクリートの中性化調査・鉄筋探査

調査項目 方法
コンクリートの中性化 フェノールフタレイン溶液を噴霧。赤紫色に変色=アルカリ性(中性化なし)。変色なし=中性化あり
鉄筋位置の非破壊探査 電磁波レーダー法(コンクリートのレントゲン)。中性化調査とは別の方法であることに注意

✅ 実力チェック|○×問題

各問題が正しければ○、誤りであれば×で答えてください。

【Q1】コンクリート壁のひび割れ幅が0.2mm未満の場合、エポキシ樹脂注入工法を採用した。
▶ 答えを見る

→ ひび割れ幅0.2mm未満はシール工法(エポキシ樹脂をパテ状になじる)が正しい。エポキシ樹脂注入工法は0.2mm以上1mm以下に適用する。
【Q2】手動式エポキシ樹脂注入工法による鉛直方向のひび割れ補修において、注入はひび割れ上部の注入口から下部へ順次行った。
▶ 答えを見る

→ 鉛直方向のひび割れは下から上へ順次注入する。上から下は誤り。
【Q3】自動式低圧エポキシ樹脂注入工法において、注入剤が硬化する前に速やかに注入パイプを撤去した。
▶ 答えを見る

→ 注入パイプは注入剤が硬化してから撤去する。硬化前に撤去すると未充填部分が生じる恐れがある。
【Q4】コンクリート打ちっぱなし外壁のひび割れ幅0.2mm以上0.5mm未満の部分に、低粘度系エポキシ樹脂を注入した。
▶ 答えを見る

→ 正しい。ひび割れ幅0.5mm未満は低粘度系(サラサラ)を使用する。細いひび割れに浸透しやすい。
【Q5】モルタルの欠損深さが30mmを超える部分にはポリマーセメントモルタルを充填した。
▶ 答えを見る

→ 欠損深さが30mmを超える場合はエポキシ樹脂モルタルを使用する。ポリマーセメントモルタルは深さ30mm以下の浅い欠損に用いる。
【Q6】アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法において、一般部のアンカーピンの打込み本数を16本/㎡とした。
▶ 答えを見る

→ 正しい。一般部は16本/㎡(4×4)が正しい本数。指定部分(出隅等)は25本/㎡(5×5)。
【Q7】タイル張り仕上げの改修で、モザイクタイルの浮き部に注入口付きアンカーピンニングエポキシ樹脂注入タイル固定工法を採用した。
▶ 答えを見る

→ モザイクタイルは小さすぎてアンカーピンを打つことができないため、この工法は適用不可。小口タイル以上のサイズに限られる。
【Q8】被せ工法によるアルミニウム製建具の改修において、既存枠への新規建具の取付けピッチを中間部400mm以内とした。
▶ 答えを見る

→ 正しい。中間部は400mm以内、端部は100mmが正しい。500mmとするのは誤り。
【Q9】既存保護コンクリートを撤去せずに行う防水改修工事において、ルーフドレン周りの既存防水層についても非撤去とした。
▶ 答えを見る

→ 平場の防水層が非撤去でも、ルーフドレン周り・立ち上がり部は必ず撤去して新規防水を施す。漏水の弱点となるため例外なし。
【Q10】コンクリートの中性化深さの調査を、電磁波レーダー法により行った。
▶ 答えを見る

→ 電磁波レーダー法は鉄筋の位置探査に用いる方法。中性化深さの調査はフェノールフタレイン溶液を噴霧して確認する(赤紫色→アルカリ性、変色なし→中性化)。
【Q11】防火認定が必要な壁紙の張替え工事において、コンクリート下地に強固に接着した既存壁紙の裏打ちは残したまま新規壁紙を貼り付けた。
▶ 答えを見る

→ 防火認定が必要な場合は既存壁紙の裏打ちも含めて完全に撤去しなければならない。裏打ちを残した状態では防火材料として認定されない。
【Q12】アスベスト除去工事において、吹付けアスベストの撤去に先立ちアスベストを固化または湿潤化した後に除去作業を行った。
▶ 答えを見る

→ 正しい。アスベストの飛散防止のため、除去前に必ず固化または湿潤化してから除去作業を行う。乾燥した状態での除去は厳禁。

まとめ|各種改修工事の攻略ポイント

試験頻出の数値まとめ
・ひび割れ幅の境界:0.2mm1mm
・エポキシ粘度の境界:0.5mm(未満=低粘度、以上=中粘度)
・欠損深さの境界:30mm(以下=ポリマーセメント、超過=エポキシ樹脂)
・欠損範囲の境界:0.25㎡(以下=部分補修、超過=塗り替え)
・アンカーピン本数:一般部 16本(4×4)、指定部分 25本(5×5)
・被せ工法中間部ピッチ:400mm以内
・ハンドブレーカー質量:15kg未満
・アスベスト廃棄物袋厚:0.15mm以上のプラスチック製

サポ塾メンバーシップで合格を目指す!

毎週のライブ授業・過去問演習・質問対応・復習テスト完備。
独学では得にくい「試験合格に直結する知識」をライブで学べます。


▶ メンバーシップ(有料)に登録する

建築士試験サポ塾 YouTubeチャンネル

-サポ塾ブログ, 施工

Copyright© 建築士試験対策のサポ塾|一級・二級建築士の学科講座 , 2026 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.