【Vol.035】【1級建築士・計画】事務所建築・商業建築を完全攻略|コアプラン・レンタブル比・エレベーター計画まで徹底解説
建築士試験サポ塾 / 計画 第11回
1級建築士学科試験「計画」の頻出分野、事務所建築・商業建築を徹底整理。コアプランの種類と特徴、レンタブル比、廊下幅、パーティション高さ、エレベーター台数の算出方法、ホテル・百貨店の面積比率など、数値を中心に丸ごとマスターできます。講義動画と合わせて確認クイズ12問に挑戦しましょう。
1. 基本寸法の確認(人体寸法)
試験では「座った状態での視線高さ」が頻出です。事務所のパーティション高さに直結するため必ず整理しておきましょう。
| 姿勢 |
頭頂高 |
視線高 |
| 立位(標準身長) |
160 cm |
150 cm |
| 座位 |
120 cm(立位 −40 cm) |
110 cm |
| 小学校高学年(立位) |
140 cm |
130 cm |
| 小学校低学年(立位) |
110 cm |
100 cm |
洗面器・小便器の中心間隔
| 器具 |
中心間隔 |
| 洗面器 |
750〜800 mm 以上 |
| 小便器 |
650〜750 mm |
2. 事務所建築の各部寸法・面積
室用途別の 1 人あたり面積
| 室 |
1 人あたり面積 |
備考 |
| 会議室 |
2〜3 m²/人 |
事務室の約 1/3 |
| 事務室 |
6〜10 m²/人 |
会議室の約 3 倍 |
製図試験の目安:10 人の事務室なら 7 m × 9 m = 63 m²、10 人の会議室なら 7 m × 3 m = 21 m² が実践的な手がかりになります。
廊下の幅(用途別まとめ)
事務所(階数 3 以上 or 延床 1,000 m² 超)での廊下幅基準は建築基準法と同様です。
| 用途 |
両側に居室 |
片側のみ |
| 事務所・共同住宅(200 m²超)・病院(診療所) |
1.6 m |
1.2 m |
| 学校(教室) |
2.3 m |
1.8 m |
| 病院(患者用) |
2.1 m |
1.8 m |
| 車椅子同士すれ違い(バリアフリー) |
1.8 m |
パーティション高さ
| 目的 |
高さ |
| 座位の視線を遮断する |
120 cm 以上 |
| 座位の視線を確保する |
110 cm 以下 |
混同注意:「遮断」なら 120 cm(座位の頭頂高)、「確保」なら 110 cm(座位の視線高)。問題文の読み違えに注意してください。
階段手すりの高さ
| 目的 |
高さ |
測定基準 |
| 歩行補助(掴み手すり) |
75〜85 cm(一般的に約 80 cm) |
段鼻から |
| 転落防止(踊り場等) |
110 cm 以上 |
床面から |
3. レンタブル比
レンタブル比とは、延床面積に対する収益部分(賃貸可能面積)の割合です。
| 対象 |
レンタブル比の目安 |
| 事務所ビル全体 |
65〜75%(約 70%) |
| 基準階(同一間取り階) |
75〜85%(約 80%) |
ポイント:全体 70% ・基準階 80% の 2 種類を区別して覚えましょう。
4. コアプランの種類と特徴
コアとは、エレベーター・階段・トイレ・設備スペースなどの共用部分をまとめた部分です。配置によって 5 種類に分類されます。
| コアの種類 |
特徴・ポイント |
| センターコア |
レンタブル比が高い。構造バランス良好。2 方向避難が難しい。高層向き。EPS は分散配置が望ましい。 |
| 偏心コア |
適切な奥行き調整がしやすい。重心と剛心が離れるため高層には不向き(中低層向き)。2 方向避難が難しい。 |
| ダブルコア(両端コア) |
2 方向避難がしやすい。構造バランス良好。フロア分割時は廊下が増え面積効率が低下する。 |
| 分離コア(外コア) |
整形な執務空間を確保できる。コアと執務部の接続部にエキスパンションジョイントが必要。 |
| オープンコア |
センターコアより広い中央開放ゾーンを持つ形式。 |
頻出ひっかけ:偏心コアは「構造的バランスが悪いため高層には不向き」。センターコアは「2 方向避難の確保が難しい」。この 2 点を逆に書いた選択肢が繰り返し出題されます。
5. ペリメーターゾーンと熱負荷
ペリメーターゾーンとは、外壁・天井・ピロティ床から 5 m 以内の外周部分です。外気温の影響を最も受けやすい部分のため、空調計画が重要です。
夏期の日射:南面より東・西面の方が日射量が大きい(太陽高度が低い朝・夕に差し込むため)。コアを東西面に配置して窓を減らすことで、夏の熱負荷を軽減できます。南北面を開放することで通風効果も高まります。
6. 机配置・オフィス形式
事務机の配置形式
| 形式 |
特徴 |
| 同向式(並行式) |
同一方向を向く。監視・管理重視。 |
| 対向式 |
向かい合う。コミュニケーション重視。 |
| スタック式(テレコ) |
プライバシーとコミュニケーションの両面確保。 |
フリーアドレスと ABW・サテライトオフィス
| 形式 |
概要 |
適用条件・備考 |
| フリーアドレス |
個人専用デスクを持たず、空いている席を使う |
在籍率 50〜60% 以下の職場に向く |
| ABW(Activity Based Working) |
仕事内容に合った場所を社内外問わず自由に選ぶ |
テレワーク・カフェ・個別ブース等も活用 |
| サテライトオフィス |
本社から離れた分散型ワークスペース |
BCP(事業継続計画)の観点からも有効 |
7. 照明基準
| 作業環境 |
照度の目安 |
| 一般事務室 |
300〜750 ルクス(平均 500 ルクス程度) |
| 細かい視作業を伴う場合 |
1,500 ルクス以上 |
タスク・アンビエント照明:手元(タスク)を重点照明、周囲(アンビエント)を低照度にすることで省エネを実現。PC ディスプレイ面(鉛直面)より水平面照度を高く設定することで手元の見やすさが向上します。
8. 衛生器具の個数基準・換気回数
便器の個数(事務所)
| 区分 |
基準 |
| 男子大便器 |
60 人以内ごとに 1 個 |
| 男子小便器 |
30 人に 1 個 |
| 女子便器 |
20 人に 1 個 |
延床 2,000 m² 程度の事務所では「男子大便器 3・小便器 3・女子便器 3(3-3-3)」が目安として過去問に出題されています。
換気回数
9. エレベーター計画
事務所のエレベーター台数算出
| 算出方法 |
内容 |
| ピーク時 5 分間輸送率 |
自社ビル:在籍者の 20〜25%、貸しビル:10〜15% |
| 人数換算 |
200〜300 人に 1 台 |
| 面積換算(1 万 m² 以上) |
3,000〜4,000 m² に 1 台(1 万 m² ならば約 3 台) |
自社 vs 貸しビル:利用時間帯が集中する自社専用ビルの方が台数を多く必要とします。
エレベーターの速度・寸法
| 種別 |
速度 |
備考 |
| 高速エレベーター |
150 m/分 |
超高層ビル向け |
| 非常用エレベーター |
60 m/分 以上 |
高さ 31 m 超で設置義務 |
| エスカレーター(30° 以下) |
45 m/分 |
35° の場合は 30 m/分 |
| 平均運転間隔 |
30 秒以下 |
快適運行の目安 |
| 項目 |
数値 |
| エレベーター対面距離(通常) |
3.5〜4.5 m |
| バンク分けした場合の対面距離 |
6〜8 m |
| 直線配列の最大台数 |
4 台以下 |
| 対面配列の最大台数 |
片側 4 台ずつ(計 8 台) |
| 乗継階(バンク分け)の標準フロア数 |
約 10 階ごと(最大 15 フロア以下) |
| 定員 24 人カゴの寸法 |
間口 2,150 mm × 奥行 1,600 mm |
バンク分けとダブルデッキエレベーター
高層ビルでは低層・中層・高層にグループ(バンク)を分けて効率的に輸送します(コンベンショナルゾーニング方式)。ダブルデッキエレベーターは 1 つのシャフトに上下 2 つのカゴを持ち、奇数階と偶数階を同時に運行します。目的階によってはエスカレーターや階段の併用が必要になる点に注意しましょう。
混同注意:コンベンショナルゾーニング方式は「バンク分け」のこと。ダブルデッキエレベーターとは別の概念です。この 2 つを入れ替えた誤り選択肢が過去問に出ています。
10. OA フロア・床積載荷重・天井チャンバー
フリーアクセスフロア(OA フロア)の床懐
| 用途 |
必要な床懐 |
| 電気配線のみ |
5〜10 cm |
| 設備配管を通す場合 |
20〜30 cm 以上 |
床の積載荷重(事務所ビル)
| 区分 |
積載荷重 |
| 一般(計算不要の場合) |
2,900 N/m² 以上 |
| オフィスビル(一般) |
3,000〜5,000 N/m² |
| ヘビーデューティゾーン(サーバー室等) |
10,000 N/m² |
天井チャンバー方式の防煙垂れ壁
| 方式 |
垂れ壁の下端 |
| 天井チャンバー方式(スリット利用) |
天井面から 25 cm |
| 通常の防煙垂れ壁 |
天井面から 50 cm 以上 |
11. 商業建築の面積比率・通路幅
百貨店・大規模量販店
| 指標 |
百貨店 |
大規模量販店 |
| 売場面積 / 延床面積 |
50〜60% |
60〜65% |
| 売場内通路 / 純売場面積 |
30〜50%(純売場 7:通路 3〜5:5) |
| 従業員数(売場 100 m² あたり) |
3.5〜4 人(1 人あたり 25〜30 m²) |
同左 |
| 売場面積:バックヤード比 |
— |
1.5 : 1 |
ショッピングセンターの面積構成
| ゾーン |
比率の目安 |
| 店舗部分 |
約 50% |
| 専門店部分 |
約 25% |
| モール・コート(客用共用スペース) |
約 10% |
売場内の通路幅と陳列棚
| 項目 |
寸法 |
| 主通路 |
3 m 以上 |
| 副通路 |
1.8 m 以上(車椅子同士がすれ違える幅) |
| 陳列棚のゴールデンゾーン |
床上 70〜150 cm(取りやすい高さ) |
12. ホテル(シティホテル)の計画
客室面積・ホテル全体の面積比率
| 指標 |
数値 |
| シングルルーム |
約 20 m²(12 畳相当) |
| ツインベッドルーム |
約 30 m²(18 畳相当) |
| 客室部門 / 延床面積 |
45〜50% |
| 基準階での客室面積比 |
65〜75% |
| 宴会場の 1 席あたり床面積 |
1.5〜2.5 m² |
| 客室 1 人あたりの延床面積目安 |
約 100 m² |
ホテルのエレベーター台数
| グレード |
台数の目安 |
| 上級ホテル(シティホテル等) |
100 室に 1 台 |
| 中級ホテル |
150〜200 室に 1 台 |
客室ごとのパイプスペース分離
シティホテルでは横方向の配管が長くなるほど勾配設定が難しくなるため、パイプスペースを各客室単位で分離配置するのが望ましいとされています。上下階のパイプスペースの位置は揃えます。
大浴場・洗面所の器具間隔
| 器具 |
中心間隔 |
| 大浴場のカラン |
90〜100 cm |
| 洗面器 |
750 mm(75 cm) |
| パラバス(バス) |
900 mm(90 cm) |
13. 非常用エレベーターの基準
| 項目 |
基準値 |
| 設置義務が生じる高さ |
高さ 31 m 超 |
| 床面積 1,500 m² 以下 |
1 台 |
| 3,000 m² 増加ごと |
1 台増加 |
| 乗降ロビーの床面積 |
10 m² 以上 / 1 基 |
| 特別避難階段の付室兼用 |
合計 15 m² 以上(乗降ロビー 10 m² + 付室 5 m²) |
兼用の可否:非常用エレベーターと荷物用エレベーターは兼用不可。非常用エレベーターと人荷用エレベーターは兼用可。特別避難階段の付室との兼用も可(ただし 15 m² 以上確保)。
確認クイズ 12 問(過去問ベース)
① パソコン作業の多い執務空間の照明計画において、ディスプレイ面の文字の見やすさを考慮し、鉛直面照度を水平面照度より高く設定した。
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×
手元を明るくするため、水平面照度を高く設定するのが正しい。ディスプレイ面(鉛直面)を高くすると画面が見づらくなる。
② 基準階の平面計画において、南北面にコアを配置して窓を減らすことで夏期の熱負荷を軽減した。
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×
東西面にコアを配置して窓を減らすのが正しい。夏期は太陽高度が低い朝夕に東西から日射が入るため、東西面の窓を減らすことが効果的。
③ 非常用エレベーターを荷物用エレベーターと兼用し、その乗降ロビーを特別避難階段の付室と兼用する計画とした。
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×
非常用エレベーターは荷物用と兼用できない。人荷用との兼用は可。特別避難階段の付室との兼用は可(15 m² 以上)。
④ 事務室内のヘビーデューティゾーンの床積載荷重を 1,300 N/m² とした。
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×
ヘビーデューティゾーンは 10,000 N/m²。一般オフィスの 3,000〜5,000 N/m² をはるかに超える値が必要。
⑤ 基準階床面積 3,000 m² の事務所ビルで電気設備のパイプスペース(EPS)を、テナント変化に対応するために集中配置とした。
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×
EPS はテナント変化への対応のために分散配置が基本。集中配置ではテナント変更時の配線引き回しが困難になる。
⑥ 事務所ビルにおいて、2 階建てエレベーターカゴにより奇数階と偶数階を同時輸送できるコンベンショナルゾーニング方式を採用し、エレベーターの占有面積を減らした。
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×
奇数・偶数同時輸送はダブルデッキエレベーター。コンベンショナルゾーニング方式はバンク分け(低層・中層・高層のゾーニング)のこと。全く別の概念。
⑦ 大規模店舗において、竣工後のテナント入れ替え・区画変更に対応しやすくするため、国土交通大臣の個別認定による安全検証を採用した。
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×
個別認定は特殊・大規模建築向けで、特定の計画に固有な認定となるため区画変更への対応が難しい。対応しやすいのは仕様規定(通常設計)。
⑧ 偏心コアは構造的バランスが良く高層建築物に適しているが、2 方向避難の確保は難しい。
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×
偏心コアは重心と剛心が離れるため高層には不向き(中低層向き)。2 方向避難が難しいという点は正しい。
⑨ センターコアはレンタブル比が高く、大きな床面積の場合に適しているが、2 方向避難の計画が難しい。
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○
コアが中央集中のため避難方向の分散が難しい。正しい記述。
⑩ 事務所ビルにおいて、椅子に座った状態での視線を遮断するパーティションの高さを 120 cm とした。
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○
座位の頭頂高が 120 cm のため遮断には 120 cm 以上が必要。正しい。
⑪ シティホテルの計画において、配管のトラブルが起きやすいため、パイプスペースを客室ごとに分離配置した。
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○
横配管が長くなるほど勾配確保が難しくなり、分岐部のトラブルも増えるため客室ごとの分離が望ましい。正しい。
⑫ 両端コア(ダブルコア)は 2 方向避難の計画はしやすいが、構造バランスが悪く高層建築には不向きである。
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×
ダブルコアはコアが両端にあるため構造バランスが良く、高層建築にも対応できる。構造バランスが悪いのは偏心コア。
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