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【Vol.055】【1級建築士・施工】ガラス工事を完全攻略|用語・数値・工法をまとめて理解

建築士試験サポ塾 / 施工 第19回 / Vol.055

【Vol.055】【1級建築士・施工】ガラス工事を完全攻略|用語・数値・工法をまとめて理解

ガラス工事は、1級建築士試験の施工科目で毎年出題される重要テーマです。セッティングブロック・クリアランスの数値、はめ込み工法の種類、各種ガラスの特徴と注意点まで、試験に直結するポイントを丁寧に解説します。授業動画と合わせて読むことで、知識が確実に定着します。

📺 授業動画はこちらから視聴できます(YouTube Live アーカイブ)

▶ 第19回「ガラス工事」授業動画を見る

① 重要用語の定義

セッティングブロック

冊子(サッシ)の下辺に設け、ガラスの自重を支持する部材です。ガラスと金属製の枠が直接接触しないようにするために設置します。

設置位置(引き違い窓の場合)
フロートガラスの両端部から、ガラス横幅寸法の 1/4 の位置に設置する。

マリオンクリアランス(目地クリアランス)

ガラスと冊子の間に設ける隙間で、以下の目的があります。

  • シーリング剤のスペース確保
  • 風圧力による不均一な応力発生の防止
  • 窓枠等との接触によるガラスの熱割れ防止
最小値(加減値)
板厚 10mm以下5mm以上
板厚 12mm以上6mm以上
⚠️ マリオンクリアランスの目的は「風圧力による損傷防止」であり、地震時の変形対策ではありません。地震時の変形対策はエッジクリアランスです。

エッジクリアランス

セッティングブロックの高さに相当する寸法。地震時に建築物躯体の変形によって窓枠が変形した際に、窓枠と板ガラスが接触してガラスに力が伝達しないようにするために設けます。

最小値:7mm以上(排水性も考慮)
覚え方:「エッジ=地震」 エッジクリアランスは地震時の変形対策!

かかり(ガラス溝深さ)

ガラスが枠溝にかかる深さ。風圧力によってガラスが窓枠から外れないようにするために設けます。

ガラスの種類 枠の材質 かかり最小値
複層ガラス アルミ・ステンレス製 15mm以上
シングルガラス 同上 10mm以上

② ガラスのはめ込み工法

① 不定形シーリング材工法(グレイジング工法)

窓枠・構造体・仕上げ材に設けた溝に板ガラスをはめ込む方法。現場でシーリング材を充填する不定形工法が代表的です。シーリング材にはシリコン系を主に使用します。

② グレイジングガスケット工法(定形シーリング材工法)

工場で成形された定形のゴム製ガスケットを使用します。2種類あります。

種類 形状 セッティングブロック
グレイジングチャンネル C字形(前後一体型) 不要
グレイジングビード 前後分割型 必要
⚠️ グレイジングチャンネルをサッシに巻きつける際は、突き合わせ部分を上辺中央部にする(下辺は水が入りやすいため)。
⚠️ 複層ガラス・厚さ 8mm以上 の合わせガラスには、グレイジングチャンネルは原則使用しない(グレイジングビードを使用)。

③ 構造ガスケット工法

Y型・H型ジッパーガスケットを使用する工法。ガスケットの形状がそのまま名称になっています。ジッパーを抜いてガラスをはめ込み、ジッパーを戻して押さえる方式です。

③ ガラスカーテンウォール(スクリーン工法)

SSG工法(ストラクチュラルシーラントグレイジング工法)

バックマリオン(縦の構造体)にガラスを構造シーラント(シリコン系)で接着する工法。

ガラスの周辺において構造シーラント(シリコン系シーリング材)を用い、ガラスの支持材に接着する辺を有します。強度計算上、この接着辺を支持辺とみなします。

紫外線対策として:構造シーラントの劣化を抑えるため、紫外線透過率が低い熱線反射ガラスを採用します(熱線吸収ガラスではない点に注意)。

DPG工法(ドットポイントグレイジング工法)

点支持金物(天指示化物)でガラスを支持する工法。ショールームなどで多く使われます。

⚠️ 強化ガラスを使用。点支持用の穴開け加工は、強化ガラスの熱処理前に工場で行う。熱処理後の切断・穴開けは一切不可。
⚠️ 丸穴加工:穴の直径は板厚以上かつ 5mm以上。穴の外周からガラスエッジまでの距離は 30mm以上、かつ穴の直径以上。

自立型 vs 吊り下げ型

ガラスの厚さが同じ場合、吊り下げ型工法は自立型工法に比べてガラスの高さ寸法を大きくできます。吊り下げ型の方が自重による応力が小さく、変位・振動への追従性が向上するためです。

④ 各種ガラスの種類と特性

型板ガラス・フロストガラス

種類 製法 強度
型板ガラス 柔らかいうちに模様型を押し当てる フロートガラス同等
フロストガラス サンドブラスト処理→化学処理で滑らかに フロートガラスの 約60%
⚠️ ガラス表面のサンドブラスト加工深さは板厚の 1/12未満とする。

強化ガラス

フロート板ガラスを約 650℃ まで加熱後、両面に空気を吹き付けて急冷。表面に強い圧縮力を形成し、曲げ強度を通常の 3〜5倍 に高めたガラス。

特徴:破損時に細かい粒状になるため比較的安全。200〜300℃の高温にも耐えられる。
⚠️ 加工後の切断・穴開けは一切不可。
⚠️ 外壁などに使用する場合は「ヒートソーク処理」(強化後の再加熱処理で不純物を含む場合に強制破損させる処理)を行ったものを用いることが望ましい。

倍強度ガラス

フロート板ガラスを約 700℃ まで加熱後に冷却。台風強度・熱割れ強度がフロートガラスの 2倍以上

⚠️ 加工後の切断は不可。
⚠️ 破損時に粒状にならない(強化ガラスとの違い)ため、破損すると危険。

合わせガラス・強化合わせガラス

2枚以上の板ガラスを強靭な中間膜で貼り合わせたガラス。破損時も破片が中間膜に付着するため飛散防止・防犯性能に優れます。強化合わせガラスは床・階段にも使用可能。

複層ガラス(ペアガラス)

2枚のガラスをスペーサーで一定間隔に保ち、周囲を封着材で密閉。内部に乾燥空気またはアルゴン・クリプトンガスを封入。

⚠️ 複層加工後の切断・穴開け・切りかけなど加工は一切不可。

Low-E複層ガラス

内部ガラス面に特殊な金属膜(Low-E膜)をコーティング。冷暖房効率が通常の複層ガラスより高い。

タイプ 膜の位置 適した方位
日射遮蔽型 外側(反射) 南・東・西面
日射取得型 内側(吸収) 北面

熱線吸収板ガラス・熱線反射板ガラス

両者とも冷房負荷の軽減に効果あり。暖房負荷の軽減効果はない。
種類 特徴・注意点
熱線吸収板ガラス 日射エネルギーを多く吸収→熱割れが生じやすい。厚さ 8mm以上 の場合は熱割れ計算が必要。部分的な日当たりは避ける。
熱線反射板ガラス(ハーフミラー) 金属酸化物を焼き付け。日射エネルギーの 30〜40% を反射。清掃は柔らかいスポンジで。

線入りガラス・網入りガラス

種類 防火 台風圧性能
線入り(縦横) 防火対策でない(飛散防止目的) フロートガラスより小さい
網入り(斜め) 防火対策 フロートガラスより小さい
⚠️ 両者ともワイヤーが錆びやすいため、外部に面するものにはガラス用防錆テープや防錆剤を施す。

⑤ ガラスブロック工事

押し型成形された2枚の箱型ガラスを接着してブロック状にしたもの。外部・内部に使用可能。

伸縮調整目地:水平長さ 6m 以内ごとに設ける。目地幅は 10〜20mm 程度(シーリングの5〜6mmより太い)。
⚠️ 外部に面するガラスブロック壁の対風圧性能については、板ガラスのような簡便な計算手法は一般化されていない。建築基準法に適合するよう計画する。

⑥ 施工上の注意点まとめ

保管方法

  • 木箱・パレット・車輪付きラックで搬入したガラスはそのまま乗せたまま保管する
  • 保管は原則として室内。やむを得ず屋外保管となる場合は防水シートをかける

水抜き孔

外部に面する複層ガラス・合わせガラス・網入り板ガラス・線入り板ガラスを用いる下辺のガラス溝には、径 6mm以上 の水抜き孔を 2箇所以上 設ける(1箇所詰まっても対応できるよう)。

熱割れ防止対策

  • 室内側に熱溜まりができる場所への設置を避ける
  • ガラス面に均一に光が当たるようにする(部分的な日当たりはNG)
  • 冷暖房の吹き出し空気をガラスに直接当てない
  • ガラス面に紙・フィルムを貼ったりペンキを塗ったりしない
  • 室内側にカーテン・ブラインドをガラスに密着させない

エアフローウィンドウ・ダブルスキン

システム 概要
エアフローウィンドウ 二重ガラス間にブラインドを設置し、室内空気を通すことでペリメーターゾーンの熱負荷を軽減
ダブルスキン 温度差換気を利用し、二重ガラス間に外気を通して熱負荷を軽減

✅ 実力チェック|○×問題

各問題が正しければ○、誤りであれば×で答えてください。

問1. 引き違い窓のセッティングブロックは、フロートガラスの両端部からガラス横幅寸法の 1/4 の位置に設置する。
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→ 引き違い窓ではガラス横幅寸法の 1/4 の位置が正しい設置位置です。1/3 や 1/2 ではありません。

問2. マリオンクリアランスは、地震時の躯体変形によって窓枠が変形した際に板ガラスに力が伝達しないようにするために設ける。
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→ 地震時の変形対策はエッジクリアランスです。マリオンクリアランスは風圧力による損傷防止・シーリング材のスペース確保・熱割れ防止を目的とします。

問3. エッジクリアランスの最小値は 7mm とし、排水性を考慮した値である。
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→ エッジクリアランスの最小値は 7mm。排水性を考慮した値であり、地震時変形にも対応します。「エッジ=地震+排水」と覚えましょう。

問4. グレイジングチャンネル工法では、ガラスを支持できるためセッティングブロックの使用は不要である。
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→ グレイジングチャンネル工法ではガスケット自体がガラスを支持するため、セッティングブロックは不要です。グレイジングビード工法ではセッティングブロックが必要です。

問5. 複層ガラスや厚さ 8mm 以上の合わせガラスの施工には、原則としてグレイジングチャンネルを用いない。
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→ 重量のあるガラスではグレイジングチャンネルが潰れやすく切れる恐れがあるため、グレイジングビードを使用します。

問6. SSG 工法において、構造シーラントの劣化を抑えるために紫外線透過率の低い熱線吸収ガラスを採用した。
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→ SSG 工法で採用するのは「熱線反射ガラス」です。熱線吸収ガラスではなく反射ガラスにより紫外線がシーラントに届くのを防ぎます。

問7. DPG 工法で使用する強化ガラスの点支持用穴開けは、強化ガラスの熱処理後に工場で行う。
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→ 穴開け加工は強化ガラスの熱処理「前」に工場で行います。強化ガラスは熱処理後の切断・穴開けは一切できません。

問8. 強化ガラスが破損した場合、破片は粒状になるため比較的安全である。
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→ 強化ガラスは破損時に細かい粒状になり、とがった破片にならないため安全です(倍強度ガラスとの違い)。

問9. 熱線吸収板ガラスは冷房負荷の軽減効果と暖房負荷の軽減効果の両方がある。
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→ 熱線吸収板ガラス・熱線反射板ガラスともに「冷房負荷の軽減」効果はありますが、「暖房負荷の軽減」効果はありません。

問10. 網入り板ガラスは線入り板ガラスと同様に、防火対策のためのガラスではない。
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→ 網入り板ガラスは防火対策を目的としたガラスです。線入り板ガラスは飛散防止が目的で防火対策ではありません。

問11. ガラスブロック積み工法において、特記がない場合のメジ幅は 6mm とした。
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→ ガラスブロックのメジ幅は 10〜20mm 程度です。6mm はガラスのシーリング幅として使われる数値であり、ガラスブロックのメジ幅ではありません。

問12. 吊り下げ型ガラススクリーン工法は、ガラスの厚さが同じ場合、自立型に比べてガラスの高さ寸法を大きくすることができる。
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→ 吊り下げ型は自重による応力が小さく、変位・振動への追従性が高いため、ガラスの高さ寸法を大きくできます。

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