建築士試験サポ塾 / 施工 第25回
【Vol.061】【1級建築士・施工】耐震改修工事を完全攻略|RC壁増設・後施工アンカー・柱補強を徹底解説
地震から建物を守る「耐震改修工事」は、1級建築士試験の施工分野で頻出テーマです。RC壁増設工事・後施工アンカー(金属系・接着系)・柱補強工事・耐震スリット新設まで、施工手順・数値・注意点をまとめて攻略しましょう。試験直前の総整理にも最適です。
この記事は以下のライブ授業をもとに作成しています
📋 目次
- RC壁増設工事の施工手順
- 金属系アンカー(後施工アンカー)
- 接着系アンカー(後施工アンカー)
- コンクリート打設方法(流し込み・圧入)
- 柱の補強工事
- 耐震スリット新設工事
- 実力チェック|○×問題(12問)
1. RC壁増設工事の施工手順
柱と柱の間に新たに鉄筋コンクリートの壁を設けて耐力を増強する工事です。既存構造体との一体化が最重要ポイントです。
施工の流れ
- 目荒らし:既存コンクリート面に電動ピック等で模様をつけ、付着性を高める
- 後施工アンカー設置
- 鉄筋組立
- 型枠設置
- コンクリート打設(流し込み工法または圧入工法)
- グラウト注入(上部隙間の充填)
目荒らしの規定値
- 平均深さ:2〜5 mm(最大でも5〜7 mm程度)
- 鉄筋が露出するほど削ってはならない
- 打継ぎ面の15〜30 %の面積となるよう全面に施す
鉄骨鉄筋コンクリート骨組への壁増設
既存SRC柱へ壁を増設する場合、フランジへのアンカー打込みが困難なため、次の方法を用います。
- フランジを避けて後施工アンカーを設置
- フランジ部かぶりコンクリートを斫り、頭付きスタッドを溶接
鉄骨フランジ部のコンクリートかぶりは通常100 mm程度です。
各部の規定寸法(図面問題頻出)
| 部位 | 寸法 |
|---|---|
| 斫り部とアンカーの間隔(A寸法) | 30 mm以上 |
| 柱面からのへり空き(B寸法) | 100 mm以上 |
| 傾斜 | 15° 以内 |
| 橋(はし)の寸法(アンカー軸径基準) | 5D以上 |
| へり(エッジ)の寸法(アンカー軸径基準) | 2.5D以上 |
開口閉塞壁による増設
既存開口部を閉塞して耐力壁にする工事です。既存鉄筋との接続には空き重ね継手(既存鉄筋と新設鉄筋の間に隙間があってもよい)を用いますが、空き重ね継手の距離は0.2L₁かつ150 mm以上とします。
2. 金属系アンカー(後施工アンカー)
後施工アンカーは毎年1問出題される最重要項目です。金属系と接着系の違いを確実に押さえましょう。
種類と用途
| 種類 | 用途 |
|---|---|
| 改良型本体打込み式 | RC壁増設工事 |
| 改良型本体打込み式(頭付き) | 枠付き鉄骨ブレース工事 |
先行(穿孔)深さ
→ 全体で5D以上確保すること
※ 先行深さ ≠ 有効埋め込み深さ(混同に注意!)
締め付け方式
- トルクレンチによるトルク管理を行い、所定のトルク値まで締め付ける
- ナット回転法は使用しない(試験頻出の誤り選択肢)
施工後の確認試験
- 締め付け方式アンカーの固着状況:特記がない場合、締め付け作業後に目視検査及び打音試験により全数確認
穿孔ドリルの使い分け
| ドリル | 特徴 | 使用場面 |
|---|---|---|
| ダイヤモンドコアドリル | 回転のみ・静か・冷却水使用 | 騒音・振動対策が必要な場合 |
| ハンマードリル | 打撃+回転・振動あり | 一般的な穿孔 |
3. 接着系アンカー(後施工アンカー)
施工の特徴
- 穿孔内にカプセル状の接着材料を挿入し、アンカー筋を回転と打撃を与えながら埋め込む
- 傾斜は15°以内まで許容
埋め込み深さの規定
| 部位 | 埋め込み深さ |
|---|---|
| 一般部 | 8D以上 |
| 端部・開口部 | 11D以上 |
| 金属系アンカー(参考) | 5D以上 |
埋め込み時に接着剤がコンクリート表面まで溢れ出てこない場合は、直ちにアンカー筋を引き抜き、カプセルを追加して再施工します。
接着系アンカーの重要ルール
- 同一箇所に金属系と接着系を併用してはならない
- アンカー筋埋め込み後、接着剤が硬化するまでアンカー筋に触れてはならない
- 上向き施工の場合は楔等を打って脱落防止を施す
- 養生期間:24時間(1日)
施工後の引張試験
試験ロット:1ロットにつき3本(ランダム抜き取り)
不合格ロットが出た場合:特記がなければ当該ロットの残り全数について試験を実施
4. コンクリート打設方法
流し込み工法(上から打設)
- 型枠上部に約20 cmの隙間を設けてコンクリートを流し込む
- コンクリート硬化後、残りの上部20 cmにグラウト注入口・空気抜き・オーバーフロー管を設けてグラウトを充填
- 1回の打込み高さは1 m程度ずつ重ね打ち
圧入工法(下から打設)
- 型枠下部に圧入口を設け、コンクリートポンプの圧力を利用して充填
- 上部に空気抜き・オーバーフロー管を既存梁下より5〜10 cm高い位置に設置
- 壁の場合は1壁ブロックとして打ち継ぎはしない
- 打込み高さが高い場合は圧入口を2段に配置
グラウト材の規定
| 項目 | 規定値 |
|---|---|
| 無収縮性(収縮しないこと) | 試験で確認 |
| 3日強度 | 25 N/mm²以上 |
| 4週強度 | 45 N/mm²以上 |
| 隙間への充填(5 mm程度以下の場合) | エポキシ系樹脂注入 |
| 隙間への充填(5 mm程度超の場合) | 無収縮モルタル注入 |
5. 柱の補強工事
柱のせん断破壊を防止し、変形能力(靭性能力)を向上させることが目的です。
① 炭素繊維シート補強(連続繊維補強)
- エポキシ樹脂を浸透させた炭素繊維シートを巻き付ける工法
- 重ね長さ:200 mm以上(重ね継手のラップは交互にずらして配置)
- 柱コーナー部の曲げ加工の内法半径:R = 30 mm以上
- 下塗り接着樹脂がにじみ出たことを確認してから上塗りをローラーで塗布
② 鋼板巻き立て補強
- 板厚4.5〜9 mmの2分割した角型または円形の鋼板を柱周囲に組み込む
- 隙間に流動性モルタルまたはプレミックスタイプ無収縮モルタルを充填
- コーナー部の曲げ加工の内法半径:鋼板厚さの3倍以上のRを設ける
③ 溶接金網巻き立て補強(RC巻き立て)
- 既存柱外周から150 mm程度の厚さの鉄筋コンクリートまたは鉄筋補強モルタルで巻き立てる
- モルタルの打込みは流し込み工法(上から)または圧入工法(下から)どちらでも可
- 流し込み工法の1回打込み高さ:1 m程度ずつ、1回ごとに締め固め
- 変形能力のみ向上させる場合は、床上と梁下に30〜50 mmのスリットを設ける
- 溶接金網の次手を重ね継手とする場合はコーナーでも中間部でも可
- 通常の継手長さ:最外端縦筋間隔に100 mmを加えた長さ以上、かつ200 mm以上
6. 耐震スリット新設工事
短柱・短梁によるせん断破壊を防ぐため、袖壁・垂れ壁・腰壁が付いた柱に構造スリットを設ける工事です。
施工上の注意点
- スリットは梁下には設けない
- 鉄筋は切断しない(コンクリートのみ溝切りする)
- スリット設置後は耐震性能を有するスリット材を挿入し、屋内外両側にシーリング材を充填して止水処理を行う
スリット目地幅
| 種類 | 目地幅 |
|---|---|
| 鉛直スリット | 壁の高さの1/100程度 |
| 水平スリット | 30 mm程度 |
7. 枠付き鉄骨ブレース工事
主要ポイント
- 鉄骨ブレースの接合はすべて高力ボルト結合とし、現場溶接は極力行わない
- 既存構造物との取り合いに設ける型枠はグラウト材圧入後に取り外し、充填状況を確認するため必ず取り外し可能な木製型枠とする
スタッド溶接の試験(抜き取り試験)
- 試験ロット:スタッドの種類・溶接される部材が異なること、かつ100本ごと及びその端数について設定
- 1ロットにつき1本以上抜き取り
- 試験したスタッドが合格 → そのロット合格
- 試験したスタッドが不合格 → 同一ロットからさらに2本試験。2本とも合格 → ロット合格。それ以外 → ロット全数試験
✅ 実力チェック|○×問題
各問題が正しければ○、誤りであれば×で答えてください。
▶ 答えを見る
▶ 答えを見る
▶ 答えを見る
▶ 答えを見る
▶ 答えを見る
▶ 答えを見る
▶ 答えを見る
▶ 答えを見る
▶ 答えを見る
▶ 答えを見る
▶ 答えを見る
▶ 答えを見る
サポ塾で合格を最短で目指そう!
ライブ授業・過去問解説・質問対応がすべてセットになったメンバーシップで、
試験本番まで着実に実力をつけましょう。
現在、施工・構造・計画・法規・環境設備の全科目を配信中!