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【Vol.050】【1級建築士・施工】プレキャストコンクリート工事を完全攻略|製造工程から接合まで数値で押さえる

建築士試験サポ塾 / 施工 第14回 / Vol.050

【Vol.050】【1級建築士・施工】プレキャストコンクリート工事を完全攻略|製造工程から接合まで数値で押さえる

プレキャスト鉄筋コンクリート(PCA)は、1級建築士「施工」科目で毎年1問は必ず出題される頻出テーマです。本記事では、サポ塾・施工第14回の講義内容をもとに、製造工程・品質基準・かぶり厚さ・許容差・接合方法など、試験に直結するポイントをすべて網羅します。数値の暗記だけでなく「なぜその値なのか」を理解することで、応用問題にも対応できる力を身につけましょう。

▼ 講義動画はこちら(YouTubeライブアーカイブ)

https://youtube.com/live/mAukn37JzK0

施工 第14回|プレキャストコンクリート工事

📋 目次

  1. PCAとは何か
  2. 製造工程の流れ
  3. 部材コンクリートの品質基準
  4. 最小かぶり厚さ(試験頻出)
  5. 脱型強度・製品検査の許容差
  6. 現場施工:仮置き・組み立て・精度検査
  7. 接合方法(ドライ/ウェット)
  8. 重点コンクリートの品質
  9. 接合部の防水
  10. 実力チェック ○×問題

1. PCAとは何か

プレキャスト鉄筋コンクリートは略して PCA と記します。よく混同される「プレストレストコンクリート(PC)」とはスモールAの有無で区別されます。

PCAの定義:工場などであらかじめ成形・製造されたコンクリート部材の総称。現場でなく管理された工場環境で養生されるため、品質・形状ともに優れた部材ができる。

製造は原則として認定を受けたプレキャスト工場で行い、部材を現場に運搬して組み立てるのが一般的です。ただし大規模現場では、現場内に仮設工場を設けて製造することもあります。その場合は第三者機関の認定取得が望ましいとされます。

2. 製造工程の流れ

製造工程は以下の順序で進みます。

工程 ポイント
型枠組み立て 型枠に離型剤を塗布
配筋・仕口金物取付 アーク溶接による鉄筋溶接は材質に悪影響→禁止
打込み前検査 鉄筋・本数・間隔・かぶり厚さを目視で全数実施(抜取りではない)
コンクリート打込み 養生ベッドによる単層一打ち式が一般的。棒形振動機で入念に締め固め
前養生 約3時間放置(加熱しない)。ホットコンクリート使用で短縮可
表面仕上げ 前養生後に実施
加熱養生(本養生) 温度上昇勾配は1時間あたり10〜20°C。蒸気停止後は自然冷却で緩やかに冷ます
後養生 貯蔵中も十分な散水養生を実施。表面温度が高い部材は外気温と同程度になるまで水密シートで養生
脱型 所要強度以上を確認。有害なひび割れ・破損が生じないよう実施
製品検査 全数検査。不合格品は廃棄・作り直し
試験要注意:脱型後に表面温度が高い部材の養生は「乾燥」ではなく水密シートによる養生です。「適切な温度管理のもと乾燥させた」という誤りの選択肢が頻出します。

3. 部材コンクリートの品質基準

PCAのコンクリートは通常の現場打ちコンクリートと数値が異なります。比較して覚えましょう。

項目 PCA部材コンクリート 普通コンクリート(参考)
品質基準強度 21〜60 N/mm² 設計に応じる
水セメント比 55% 以下 65% 以下
単位セメント量 300 kg/m³ 以上 270 kg/m³
空気量(特記なし) 3% 以下 4.5%(±1.5%)
スランプ 12 cm 以下 設計に応じる
塩化物量 0.3 kg/m³ 以下 0.3 kg/m³ 以下
空気量が少ない理由:加熱養生時に空気が熱膨張するため、空気量を少なく設定しています。ただし凍結融解作用を受ける恐れがある場合は標準程度(4〜5%)にします。

脱型強度の確認方法

脱型時の圧縮強度の確認は、部材の製造場所で採取した供試体を使用し、部材コンクリートと同一の養生条件(前養生・加熱養生・後養生)で行います。「標準養生」ではありません。

強度の種類の整理

  • 設計基準強度:構造計算に用いる圧縮強度
  • 耐久設計基準強度:計画供用期間に応じた耐久性確保のための強度
  • 品質基準強度:上記2つの大きい方
  • 調合管理強度:品質基準強度+構造体強度補正値

PCAの管理では「品質基準強度」が基準となります(現場打ちコンクリートの「調合管理強度」と混同しないこと)。

4. 最小かぶり厚さ(試験頻出)

PCAのかぶり厚さは鉄筋コンクリートの数値と混同しやすいため、比較・連想で覚えましょう。計画供用期間「標準・長期」の場合の最小かぶり厚さを示します。

部材の種類 屋外 屋内
耐力壁・柱・梁 40 mm 30 mm
床スラブ・屋根スラブ 30 mm 20 mm
非耐力壁 30 mm 20 mm
連想暗記のコツ:「屋外の耐力壁・柱・梁 = 40 mm」を基準に覚える。
・屋外→屋内は −10 mm
・耐力壁・柱・梁→床・屋根スラブは −10 mm
・耐久性上有効な仕上げがある場合はさらに −10 mm
・設計かぶり厚さ = 最小かぶり厚さ + 5 mm(通常RC造は+10mmだがPCAは+5mm

5. 脱型強度・製品検査の許容差

脱型時の所要強度(鉄板問題!)

脱型方法 必要圧縮強度
ベッドを傾斜させずに(寝かせたまま)起こす 12 N/mm² 程度
ベッドを70°〜80°傾斜させてから吊り上げる 8〜10 N/mm²
試験で毎年狙われます:70°〜80°傾斜させて脱型する場合でも「5 N/mm²」とする選択肢は誤り。必ず 8〜10 N/mm² です。

製品寸法の許容差

項目 許容差
対角線の長さ(耐力壁パネル) ±10 mm
対角線の長さ(その他の部材) ±5 mm
部材の長さ(梁・大梁) ±10 mm
部材の長さ(柱・壁・床・屋根スラブ) ±5 mm
部材の高さ・幅(垂直方向) ±5 mm
部材の厚さ ±3 mm

ひび割れの補修基準

ひび割れ幅 補修方法
0.1 mm 以下 清掃→プライマー塗布→初期補修用プレミックスポリマーセメントペーストで表面処理
0.1 mm超〜0.3 mm 以下 Vカットなしでそのままエポキシ樹脂注入
0.3 mm 以上(主筋方向に部材全体) 補修不可・廃棄(構造耐力上重要な壁・梁・床スラブ等)
各種補修工事との混同注意:各種補修工事の「0.2〜1mm でエポキシ樹脂注入」と混同しやすい!PCAは0.1〜0.3 mmの区分です。

6. 現場施工:仮置き・組み立て・精度検査

受け入れ検査と仮置き

現場到着時は製造工場の検査済み表示を確認し、目視で異状の有無を確認します。できればトラック・トレーラーから直接吊り上げるのが望ましいですが、仮置きが必要な場合は以下のルールを守ります。

部材種類 積み重ね段数 枕木
床・壁スラブ 6段以下 1枚ごとに設置
柱・梁部材 2段まで 1枚ごとに設置
仮置き10段は誤り:「安全性を考慮して床部材を10段積み重ねた」は誤りです。正しくは 6段以下です。

バルコニー付き床部材の大引き位置

バルコニー付き床・ひさし付きの板状部材は、組み立て後に部材が支持される位置(カンチ部より内側)に大引きを配置します。支持点から離してはいけません(離すと曲げモーメントが大きくなる)。

組み立て・仮固定・精度検査の手順

組み立ては作業責任者を定め、その指示に従います。斜めサポートを壁は2本以上、柱はXY方向に各1本以上設けて仮固定します。精度検査は1部材を仮固定するたびに(全数完了後ではなく)次の部材の組み立て前に実施します。

風速 10 m/s 以上の場合は組み立て作業を中止します。

組み立て精度検査の判定基準

検査項目 許容差
縦込め位置(水平方向) ±5 mm
天場の高さ(垂直方向) ±5 mm
±10 mmや±8 mmは誤り:柱・壁の垂直方向もスラブの水平方向も、組み立て精度の判定基準は±5 mmが基本です。

敷きモルタル(グラウト)

耐力壁の水平接合部に使用する敷きモルタルは、壁厚と同じ幅でレベル調整材より10 mm高く敷き込みます。立て込み後にはみ出した部分はカットします。敷きモルタルの圧縮強度は材齢28日において部材コンクリートの品質基準強度以上とします(設計基準強度でも調合管理強度でもない)。

現場打ちコンクリートとの接合部位置の許容差

プレキャスト部材を現場打ちコンクリートに接合する場合、PCA部材の位置の許容差は現場打ちコンクリートと同じく±20 mmです(製作寸法の±3〜10 mmとは別の話です)。

7. 接合方法(ドライ/ウェット)

種類 接合方法の例
ドライジョイント 溶接接合・スリーブ継手・高力ボルト接合
ウェットジョイント 鉄筋を溶接またはループ状に重ねてコンクリートを充填

エンクローズ溶接

  • 溶接後の冷却による約1 mm の収縮が生じるため、同一部位の溶接は連続して行う
  • 作業は中央から外側へ進める(外周部から中央部は誤り)
  • 気温が −5°C 未満の場合は溶接禁止
  • −5°C〜+5°C の場合は溶接範囲を加熱してから実施

スリーブ継手

接合用鉄筋に鋼製スリーブをはめ込み、セメント系無収縮グラウト剤を充填して鉄筋を一体化する方法。鉄筋の収縮なし・残留応力なし。

  • グラウト材は柱部材のコーナー側スリーブから連続的に注入
  • 充填確認は全ての排出口から溢れ出たことを目視で確認

8. 重点コンクリートの品質

項目 重点コンクリート 部材コンクリート
水セメント比 55% 以下 55% 以下
単位水量 185 kg/m³
単位セメント量 330 kg/m³ 以上 300 kg/m³ 以上
スランプ 21 cm 以下 12 cm 以下

9. 接合部の防水

  • 外壁目地部分のシーリング材の充填深さ:10 mm 以上(15 mm でも可)
  • 液状シールによる目地の防水:塗り幅は目地幅プラス両端とも60 mm 以上
  • 塗り厚さ:防水用ガラスシートを含め10 mm 以上

✅ 実力チェック|○×問題

各問題が正しければ○、誤りであれば×で答えてください。

問1. プレキャスト鉄筋コンクリート(PCA)は略号PCの後にスモールAを付けて表記し、プレストレストコンクリートと区別される。
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→ 正しい。PCA(プレキャスト鉄筋コンクリート)とPC(プレストレストコンクリート)はスモールAの有無で区別します。

問2. PCA部材コンクリートの空気量は、特記がなく凍結融解作用を受ける恐れもない場合、目標値を4.5%とした。
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→ PCAの空気量は特記がなく凍結融解の恐れがない場合は 3%以下です。加熱養生時に空気が熱膨張するため少なめに設定されています。4.5%は普通コンクリートの基準値です。

問3. コンクリート打込み前の配筋検査は目視により抜取り検査で実施する。
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→ 打込み前の配筋検査は全数実施です。抜取りではありません。

問4. 加熱養生の温度上昇勾配は1時間あたり10〜20°Cとし、蒸気停止後は急速に冷却してよい。
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→ 温度上昇勾配1時間あたり10〜20°Cは正しい。しかし蒸気停止後は自然冷却によりできるだけ緩やかに温度を下げます。急速冷却は禁止です。

問5. 脱型後に表面温度が高いプレキャスト部材は、表面部の温度が外気温と同程度になるまで適切な温度管理のもと貯蔵場所で十分に乾燥させた。
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→ 「乾燥」ではなく水密シートによる養生を行います。湿らせながらゆっくり冷ますのが正解です。

問6. 板状のプレキャスト部材をベッドを70°〜80°に傾斜させてから吊り上げる場合、脱型所要強度はコンクリートの圧縮強度5 N/mm²とした。
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→ 70°〜80°傾斜させてから吊り上げる場合の所要強度は8〜10 N/mm²です。5 N/mm²は誤りです。

問7. 脱型強度の確認は、部材の製造場所で採取した供試体を用いて標準養生を行った試験体の圧縮強度より確認した。
▶ 答えを見る

→ 「標準養生」ではなく部材コンクリートと同一の養生条件(前養生・加熱養生・後養生)で行います。

問8. プレキャスト部材の仮置きにおいて、床部材は6段以下、柱・梁部材は2段まで積み重ねてよい。
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→ 正しい。床・壁スラブは6段以下、柱・梁部材は2段まで。枕木は1枚ごとに設置します。

問9. プレキャスト柱・壁部材の組み立て精度検査は、当該階の全てのプレキャスト部材の仮固定完了後、接合作業前に一括して行った。
▶ 答えを見る

→ 精度検査は「全数完了後」ではなく1部材を仮固定するたびに次の部材の組み立て前に実施します。

問10. エンクローズ溶接による接合においては、溶接作業を建物の外周部から中央部へ順次行った。
▶ 答えを見る

→ エンクローズ溶接の作業順序は中央から外側(外周部)へ進めます。「外周部から中央部」は誤りです。

問11. 耐力壁の水平接合部に用いる敷きモルタルの圧縮強度は、材齢28日において部材コンクリートの設計基準強度以上となるように管理した。
▶ 答えを見る

→ 「設計基準強度」ではなく品質基準強度(設計基準強度と耐久設計基準強度の大きい方)以上です。

問12. スリーブ継手のグラウト材充填確認は、1箇所の注入口から注入したグラウト材が全ての排出口から溢れ出たことを目視で確認する。
▶ 答えを見る

→ 正しい。スリーブ継手のグラウト充填確認は、全ての排出口から溢れ出たことを目視で確認します。

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