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【Vol.045】【1級建築士・施工】鉄筋工事を完全攻略|定着・継手・かぶり厚さの数値を徹底整理

建築士試験サポ塾 / 施工 第9回

【Vol.045】【1級建築士・施工】鉄筋工事を完全攻略|定着・継手・かぶり厚さの数値を徹底整理

公開日:2026年6月14日

鉄筋工事は施工科目の中でも数値の多さ紛らわしい規定が特徴です。SD295 と SD345 の違い、フックの余長「ヨーロッパ468」、定着長さと継手長さの使い分け、かぶり厚さの部位別一覧——これらを体系的に整理することで、毎年必ず出題される鉄筋工事問題をまとめて得点源にできます。

本記事は建築士試験サポ塾の講義動画(施工 第9回)をもとに作成しました。数値の丸暗記ではなく「なぜその値なのか」という理屈から理解を深めていきましょう。

📺 この記事の元になった講義動画はこちら

▶ 【施工 第9回】鉄筋工事 ― 建築士試験サポ塾 講義動画

1. 鉄筋の種類と識別方法

鉄筋には JIS で定められた突起(リブ)マークが刻印されており、種類を現場で即座に識別できます。

SD の種類と点マーク

種別 降伏強さ 点マーク
SD295 295 N/mm² なし(0個)
SD345 345 N/mm² 1個(SD345 = 点1つを覚える)
SD390 390 N/mm² 2個
SD490 490 N/mm² 3個
覚え方:SD345 = 点1つ。それより小さい SD295 は点なし、それより大きくなるごとに点が1つずつ増える。

2. 鉄筋の加工寸法の許容差

加工後の鉄筋寸法には許容差(公差)があり、部位と計画共用期間(Q)によって異なります。

主筋・帯筋・あばら筋の許容差

部位・条件 標準(Q=標準) 長期(Q=長期)
主筋 D≦25 mm ±15 mm ±10 mm
主筋 D>25 mm ±20 mm ±15 mm
帯筋・あばら筋・スパイラル筋(加工寸法) ±5 mm ±5 mm(変わらず)
加工後全長 ±20 mm ±20 mm(変わらず)
重要:帯筋・あばら筋・スパイラル筋の加工寸法は ±5 mm。かぶり厚さに直結するため最も厳しい。長期でも変わらない。

3. フックの角度と余長

余長の語呂合わせ「ヨーロッパ468」

折り曲げ角度 余長 理由
180° 4D 以上 最も抜けにくいので余長は最短でよい
135° 6D 以上 中間
90° 8D 以上 最も抜けやすいので余長を最長にする
語呂合わせ:ヨーロッパ 4・6・8」(余長=4・6・8、角度は 180→135→90 の順)

特例:スパイラル筋・片持ちスラブ・キャップタイ

箇所 角度 余長
スパイラル筋(端部)90° 90° 12D(通常の 8D より長い!)
スパイラル筋(端部)135° 135° 6D(通常と同じ)
片持ちスラブ上端筋の先端フック 90° または 135° 4D 以上でよい
キャップタイ(スラブ付き梁の帯筋) 90° 8D
注意:スパイラル筋の 90° は 12D(通常の 8D ではない)。端部定着は 1.5 巻き以上の添え巻きとしフックを設ける。また重ね継手は 50D かつ 300 mm 以上

フックが必要な箇所(建築基準法で規定)

  • 基礎以外の梁の端部(あばら筋・帯筋)
  • 片持ち梁・片持ちスラブの先端の上端筋
  • 煙突の鉄筋
  • 柱の帯筋・梁のあばら筋

4. 鉄筋相互のあき

鉄筋と鉄筋の間(あき)が狭すぎると骨材が詰まってジャンカが発生します。下記3条件のうち最も大きい値を確保します。

語呂合わせ:「鉄筋相互のあき = 鉄はいつも 2個・2個・いい子倍

  • 骨材最大寸法の 1.25 倍(骨材のやつだが = 骨材の)
  • 25 mm 以上(2個2個=25)
  • 隣合う鉄筋径の平均径1.5 倍(いい子倍=1.5倍)
異なる径の鉄筋が隣り合う場合は平均径を使う(継手の細い方とは異なる)。3条件すべてを満たすのではなく、最も大きい値を適用する。

5. 鉄筋の結束

箇所 結束の程度
帯筋の四隅・基礎梁隅・幅止め筋・あばら筋上のタブ 全数
梁主筋 D25 mm 未満 全数
梁下端筋の単波部 半数以上
スラブ・壁その他の交点 半数以上
柱筋の四隅 全数(必ず)

6. かぶり厚さ

かぶり厚さは最外側鉄筋(フープ・スターラップを含む)の外面から、コンクリート表面までの最短距離です。目地などの断面欠損がある場合は目地底から計測します。

最小かぶり厚さ一覧(設計かぶり厚さ=最小+施工誤差)

部位・環境 短期 標準・長期
非腐食環境(屋内)構造部材 柱・梁・壁 20 mm 30 mm
非腐食環境以外(屋外)構造部材 柱・梁・耐力壁 30 mm 40 mm
非腐食環境以外(屋外)床スラブ・屋根スラブ 30 mm 30 mm
直接土に接する柱・梁・基礎梁の立上り 40 mm
基礎(直接土に接する) 60 mm
整理ポイント:数値は 20・30・40・60 の4種。「基礎梁(基礎ばり)は 60 ではなく 40」は頻出の引っ掛け。基礎梁 ≠ 基礎。最小は 20 mm、最大は 60 mm(基礎)。

スペーサーの設置間隔と材質

部位 間隔 端部
スラブ(XY 両方向) 0.9 m 程度 0.1 m(10 cm) 以内
1.5 m 程度 0.5 m(50 cm) 程度
材質注意:基礎梁の底部スペーサー → コンクリート製または鋼製(モルタル製は不可)。側面に限りプラスチック製も可。

7. 定着長さと継手長さ

SD345・設計基準強度 24〜27 N/mm² の基準値

区分 フックなし フックあり
定着長さ 35D 25D(−10D)
重ね継手長さ 40D 30D(−10D)
  • SD295 に変わると → −5D(定着 30D・継手 35D)
  • Fc が 24〜27 より大きくなると → 定着・継手は短くできる(セメント密度が上がり抜けにくくなるため)
  • 鉄筋強度が大きくなると → 定着・継手は長くなる(力の集中により抜けやすくなるため)
  • スラブ下端筋の定着 → 10D かつ 150 mm 以上
  • 梁主筋の柱内定着 → 柱中心を超えて 柱幅(内法)の 3/4 以上

重ね継手のずらし方

継手種別 隣合う継手のずらし量
普通の重ね継手 0.5L または 1.5L(L ずらしは NG)
溶接継手・圧接継手・機械式継手 400 mm 以上(機械式は +カップラー幅 40 mm)
注意:D35 以上の異形鉄筋には重ね継手を用いない。異径の鉄筋を継ぐ場合は細い方の鉄筋径を基準にする(あきの平均径とは異なる)。

鉄筋溶接

溶接方法 適用径 溶接長さ
エンクローズ溶接(突合せ) D>25 mm
フレアグルーブ溶接(重ね)両面 D≦25 mm 5D 以上
フレアグルーブ溶接(重ね)片面 D≦25 mm 10D 以上

8. ガス圧接継手

圧接の基本ルール

  • 圧接できる鉄筋:D16 以上
  • 自動ガス圧接:異径(径が異なる場合)は不可
  • 手動ガス圧接:径差 7 mm 以下まで可(公共建築工事標準仕様書は 5 mm 超は不可)
  • 特例:D41 と D51 は径差があっても圧接可

圧接継手位置

  • 柱主筋のガス圧接継手位置:床面から 500 mm 以上 1,500 mm 以下、かつ柱の内法高さの 3/4 以下
  • 隣接する鉄筋の継手位置のずれ:400 mm 以上

圧接部の外観検査合格基準

検査項目 合格基準 不合格時の処置
ふくらみの直径 1.4D 以上 再加熱して修正可
ふくらみの長さ(幅) 1.1D 以上 再加熱して修正可
中心軸の偏心量(変心量) 1/5D 以下(細い方の径) 切り取って再圧接(再加熱 NG!)
圧接面のずれ 1/4D 以下 切り取って再圧接
頻出!変心量が規定値超過 → 再加熱は NG・切り取って再圧接。例:D22 の場合 22÷5=4.4 mm 以下が合格基準(5 mm は超過)。

圧接部の検査方法

  • 外観検査:全数検査
  • 超音波探傷試験:1ロット=作業班が1日に行った箇所、うち 30 箇所を抜き取り
  • 引張試験(実施する場合):1ロットにつき 3 本

9. 補強筋・スラブ配筋

補強筋の配置位置

  • 壁(ダブル配筋):補強筋は配筋の内側(コンクリート側でなく鉄筋間)
  • スラブ・屋根スラブ:補強筋は上端筋の下(上端筋の上には置かない)

スラブ配筋の基本

  • 長方形スラブ:短辺方向の鉄筋が主筋(下側)、長辺方向が配力筋(上側)
  • スラブ配筋は中央から端部へ割り付ける
  • 小梁の主筋は大梁への定着が確保できない場合、斜め定着としてもよい

✅ 実力チェック|○×問題

各問題が正しければ○、誤りであれば×で答えてください。

Q1. SD345 の鉄筋はリブ間の突起(点マーク)が1個である。
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→ SD345 = 点1つ。SD390 が点2つ、SD490 が点3つ。SD295 は点なし。

Q2. 帯筋・あばら筋の加工寸法の許容差は、計画共用期間が長期の場合、標準より5 mm 厳しくなる。
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→ 帯筋・あばら筋・スパイラル筋の加工寸法の許容差は標準・長期ともに ±5 mm で変わらない。長期で厳しくなるのは主筋のみ。

Q3. 180° フックの余長は 8D 以上である。
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→ 180° フックの余長は 4D 以上。最も抜けにくいので最短でよい。語呂「ヨーロッパ 4・6・8」=180°→135°→90°の順。

Q4. スパイラル筋の端部を 90° フックで処理する場合の余長は 8D 以上である。
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→ スパイラル筋の 90° フック余長は 12D 以上(通常の 8D より長い)。135° の場合は通常通り 6D。

Q5. 鉄筋相互のあきは、骨材最大寸法の 1.25 倍・25 mm・隣合う鉄筋径の平均の 1.5 倍のうち最も大きい値とする。
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→ 語呂「鉄は…いつも2個2個いい子倍」の通り正しい。3条件すべてを満たすのではなく最大値を採用。

Q6. 直接土に接する基礎のかぶり厚さの最小値は 40 mm である。
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→ 基礎(フーチング等)は 60 mm。40 mm は直接土に接する柱・梁・基礎梁(基礎ばり)の立上り部分。「基礎梁 ≠ 基礎」に注意。

Q7. SD345・設計基準強度 24 N/mm² の場合、重ね継手長さはフックなしで 35D である。
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→ 35D は定着長さ。重ね継手長さは 40D(フックなし)。「定着 35D・継手 40D」の対比で覚える。

Q8. 隣り合う重ね継手の位置は、継手長さ L に対して 0.5L または 1.5L だけずらす。
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→ 正しい。L ずらしは同一断面で継手が集中するため NG。溶接・圧接・機械式継手は 400 mm 以上ずらす。

Q9. ガス圧接は D16 未満の鉄筋には適用できない。
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→ ガス圧接は D16 以上に適用。それ未満は細すぎて適切な圧接部(お団子)が形成できない。

Q10. D22 の鉄筋ガス圧接部の中心軸の偏心量の合格基準値は 5 mm である。
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→ 変心量は 1/5D 以下。D22 の場合 22÷5=4.4 mm 以下が合格。5 mm は超過となり、切り取って再圧接が必要。

Q11. ガス圧接部のふくらみの直径が 1.4D 未満の場合は、切り取って再圧接しなければならない。
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→ ふくらみ不足は「再加熱」で修正できる。切り取り再圧接が必要なのは中心軸の偏心量・圧接面のずれが規定値超過の場合。

Q12. フレアグルーブ溶接で片面からしか溶接できない場合の溶接長さは 5D 以上である。
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→ 片面溶接は 10D 以上。5D 以上は両面溶接の場合。片面は溶け込みが浅くなるため長さを2倍にして強度を確保する。

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