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【Vol.061】【1級建築士・施工】耐震改修工事を完全攻略|RC壁増設・後施工アンカー・柱補強を徹底解説

建築士試験サポ塾 / 施工 第25回

【Vol.061】【1級建築士・施工】耐震改修工事を完全攻略|RC壁増設・後施工アンカー・柱補強を徹底解説

地震から建物を守る「耐震改修工事」は、1級建築士試験の施工分野で頻出テーマです。RC壁増設工事・後施工アンカー(金属系・接着系)・柱補強工事・耐震スリット新設まで、施工手順・数値・注意点をまとめて攻略しましょう。試験直前の総整理にも最適です。

この記事は以下のライブ授業をもとに作成しています

▶ YouTube授業を視聴する:施工 第25回「耐震改修工事」

📋 目次

  1. RC壁増設工事の施工手順
  2. 金属系アンカー(後施工アンカー)
  3. 接着系アンカー(後施工アンカー)
  4. コンクリート打設方法(流し込み・圧入)
  5. 柱の補強工事
  6. 耐震スリット新設工事
  7. 実力チェック|○×問題(12問)

1. RC壁増設工事の施工手順

柱と柱の間に新たに鉄筋コンクリートの壁を設けて耐力を増強する工事です。既存構造体との一体化が最重要ポイントです。

施工の流れ

  1. 目荒らし:既存コンクリート面に電動ピック等で模様をつけ、付着性を高める
  2. 後施工アンカー設置
  3. 鉄筋組立
  4. 型枠設置
  5. コンクリート打設(流し込み工法または圧入工法)
  6. グラウト注入(上部隙間の充填)

目荒らしの規定値

  • 平均深さ:2〜5 mm(最大でも5〜7 mm程度)
  • 鉄筋が露出するほど削ってはならない
  • 打継ぎ面の15〜30 %の面積となるよう全面に施す

鉄骨鉄筋コンクリート骨組への壁増設

既存SRC柱へ壁を増設する場合、フランジへのアンカー打込みが困難なため、次の方法を用います。

  1. フランジを避けて後施工アンカーを設置
  2. フランジ部かぶりコンクリートを斫り、頭付きスタッドを溶接

鉄骨フランジ部のコンクリートかぶりは通常100 mm程度です。

各部の規定寸法(図面問題頻出)

部位 寸法
斫り部とアンカーの間隔(A寸法) 30 mm以上
柱面からのへり空き(B寸法) 100 mm以上
傾斜 15° 以内
橋(はし)の寸法(アンカー軸径基準) 5D以上
へり(エッジ)の寸法(アンカー軸径基準) 2.5D以上

開口閉塞壁による増設

既存開口部を閉塞して耐力壁にする工事です。既存鉄筋との接続には空き重ね継手(既存鉄筋と新設鉄筋の間に隙間があってもよい)を用いますが、空き重ね継手の距離は0.2L₁かつ150 mm以上とします。

注意:壁厚が薄くコンクリート斫りが困難な場合は、開口塞ぎ部分全てについてグラウト材(無収縮モルタル)を注入します。

2. 金属系アンカー(後施工アンカー)

後施工アンカーは毎年1問出題される最重要項目です。金属系と接着系の違いを確実に押さえましょう。

種類と用途

種類 用途
改良型本体打込み式 RC壁増設工事
改良型本体打込み式(頭付き) 枠付き鉄骨ブレース工事

先行(穿孔)深さ

先行深さ = 有効埋め込み深さ + アンカー本体の外径(D)
→ 全体で5D以上確保すること
※ 先行深さ ≠ 有効埋め込み深さ(混同に注意!)

締め付け方式

  • トルクレンチによるトルク管理を行い、所定のトルク値まで締め付ける
  • ナット回転法は使用しない(試験頻出の誤り選択肢)

施工後の確認試験

  • 締め付け方式アンカーの固着状況:特記がない場合、締め付け作業後に目視検査及び打音試験により全数確認

穿孔ドリルの使い分け

ドリル 特徴 使用場面
ダイヤモンドコアドリル 回転のみ・静か・冷却水使用 騒音・振動対策が必要な場合
ハンマードリル 打撃+回転・振動あり 一般的な穿孔
コアドリル使用時は冷却水を使うため、コンクリートのアルカリ成分が溶出します。排水は中和剤でアルカリ性を中和してから適切に処理してください。

3. 接着系アンカー(後施工アンカー)

施工の特徴

  • 穿孔内にカプセル状の接着材料を挿入し、アンカー筋を回転と打撃を与えながら埋め込む
  • 傾斜は15°以内まで許容

埋め込み深さの規定

部位 埋め込み深さ
一般部 8D以上
端部・開口部 11D以上
金属系アンカー(参考) 5D以上
接着材の溢れ出し確認が必須!
埋め込み時に接着剤がコンクリート表面まで溢れ出てこない場合は、直ちにアンカー筋を引き抜き、カプセルを追加して再施工します。

接着系アンカーの重要ルール

  • 同一箇所に金属系と接着系を併用してはならない
  • アンカー筋埋め込み後、接着剤が硬化するまでアンカー筋に触れてはならない
  • 上向き施工の場合は楔等を打って脱落防止を施す
  • 養生期間:24時間(1日)

施工後の引張試験

確認荷重:「アンカー筋降伏による引張荷重」または「コンクリート破壊による引張荷重」の小さい方の 2/3 の値を下回らず、急激な耐力低下がないことを確認します。

試験ロット:1ロットにつき3本(ランダム抜き取り)
不合格ロットが出た場合:特記がなければ当該ロットの残り全数について試験を実施

4. コンクリート打設方法

流し込み工法(上から打設)

  • 型枠上部に約20 cmの隙間を設けてコンクリートを流し込む
  • コンクリート硬化後、残りの上部20 cmにグラウト注入口・空気抜き・オーバーフロー管を設けてグラウトを充填
  • 1回の打込み高さは1 m程度ずつ重ね打ち

圧入工法(下から打設)

  • 型枠下部に圧入口を設け、コンクリートポンプの圧力を利用して充填
  • 上部に空気抜き・オーバーフロー管を既存梁下より5〜10 cm高い位置に設置
  • 壁の場合は1壁ブロックとして打ち継ぎはしない
  • 打込み高さが高い場合は圧入口を2段に配置

グラウト材の規定

項目 規定値
無収縮性(収縮しないこと) 試験で確認
3日強度 25 N/mm²以上
4週強度 45 N/mm²以上
隙間への充填(5 mm程度以下の場合) エポキシ系樹脂注入
隙間への充填(5 mm程度超の場合) 無収縮モルタル注入

5. 柱の補強工事

柱のせん断破壊を防止し、変形能力(靭性能力)を向上させることが目的です。

① 炭素繊維シート補強(連続繊維補強)

  • エポキシ樹脂を浸透させた炭素繊維シートを巻き付ける工法
  • 重ね長さ:200 mm以上(重ね継手のラップは交互にずらして配置)
  • 柱コーナー部の曲げ加工の内法半径:R = 30 mm以上
  • 下塗り接着樹脂がにじみ出たことを確認してから上塗りをローラーで塗布

② 鋼板巻き立て補強

  • 板厚4.5〜9 mmの2分割した角型または円形の鋼板を柱周囲に組み込む
  • 隙間に流動性モルタルまたはプレミックスタイプ無収縮モルタルを充填
  • コーナー部の曲げ加工の内法半径:鋼板厚さの3倍以上のRを設ける
よくある誤り:鋼板巻き立て補強でコーナー部の内法半径を「2.5倍」としている選択肢は×。正しくは3倍以上です。

③ 溶接金網巻き立て補強(RC巻き立て)

  • 既存柱外周から150 mm程度の厚さの鉄筋コンクリートまたは鉄筋補強モルタルで巻き立てる
  • モルタルの打込みは流し込み工法(上から)または圧入工法(下から)どちらでも可
  • 流し込み工法の1回打込み高さ:1 m程度ずつ、1回ごとに締め固め
  • 変形能力のみ向上させる場合は、床上と梁下に30〜50 mmのスリットを設ける
  • 溶接金網の次手を重ね継手とする場合はコーナーでも中間部でも可
  • 通常の継手長さ:最外端縦筋間隔に100 mmを加えた長さ以上、かつ200 mm以上

6. 耐震スリット新設工事

短柱・短梁によるせん断破壊を防ぐため、袖壁・垂れ壁・腰壁が付いた柱に構造スリットを設ける工事です。

施工上の注意点

  • スリットは梁下には設けない
  • 鉄筋は切断しない(コンクリートのみ溝切りする)
  • スリット設置後は耐震性能を有するスリット材を挿入し、屋内外両側にシーリング材を充填して止水処理を行う

スリット目地幅

種類 目地幅
鉛直スリット 壁の高さの1/100程度
水平スリット 30 mm程度
スリット設置用機器を固定する後施工アンカーは、柱・梁への打ち込みを避け、縦壁・腰壁に打ち込みます(構造体への影響を防ぐため)。

7. 枠付き鉄骨ブレース工事

主要ポイント

  • 鉄骨ブレースの接合はすべて高力ボルト結合とし、現場溶接は極力行わない
  • 既存構造物との取り合いに設ける型枠はグラウト材圧入後に取り外し、充填状況を確認するため必ず取り外し可能な木製型枠とする

スタッド溶接の試験(抜き取り試験)

  • 試験ロット:スタッドの種類・溶接される部材が異なること、かつ100本ごと及びその端数について設定
  • 1ロットにつき1本以上抜き取り
  • 試験したスタッドが合格 → そのロット合格
  • 試験したスタッドが不合格 → 同一ロットからさらに2本試験。2本とも合格 → ロット合格。それ以外 → ロット全数試験

✅ 実力チェック|○×問題

各問題が正しければ○、誤りであれば×で答えてください。

【Q1】後施工アンカー工事において総合振動対策が必要とされたことから、先行穿孔機械にハンマードリルを採用した。
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→ 振動対策が必要な場合はダイヤモンドコアドリルを使用します。ハンマードリルは打撃により余計に振動が発生するため不適切です。

【Q2】接着系アンカーの施工において、特記がなかったのでアンカー筋に打撃や衝撃を与えず、かつ回転しないようにマーキング位置まで埋め込んで固着させた。
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→ 接着系アンカーは回転と打撃を与えながら埋め込みます。回転させることで接着剤が周囲に広がり一体化します。

【Q3】金属系アンカーの後施工アンカー工事において、特記がなかったので締め付け方式のアンカーをナット回転法で締め付けることにより固着させた。
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→ ナット回転法は使用しません。トルクレンチを用いたトルク管理で所定のトルク値まで締め付けます。

【Q4】鋼板巻き立て補強による柱補強工事において、鋼板の形状を角型としたので、コーナー部の曲げ加工の内法半径については鋼板厚さの2.5倍とした。
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→ 鋼板巻き立て補強のコーナー部内法半径は鋼板厚さの3倍以上が必要です。2.5倍では不足します。

【Q5】既存鉄筋コンクリート造の開口閉塞壁の増設工事において、壁厚が厚い付近の既存開壁を閉鎖するにあたり、開口部に埋め込む後施工アンカーの埋め込み長さを、特記がなかったので10Dとした。
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→ 接着系アンカーの端部・開口部は11D以上が必要です。10Dでは不足します。

【Q6】鉄筋コンクリート造の増設耐震壁の工事において、本体打込み式の改良型の金属系アンカーを使用するにあたり、ドリルで先行穿孔する先行深さについては有効埋め込み深さと同じ深さとした。
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→ 先行深さ=有効埋め込み深さ+アンカー本体外径(D)です。先行深さと有効埋め込み深さは同じではありません。全体で5D以上確保する必要があります。

【Q7】鉄筋コンクリート造の増打ち耐震壁の増設工事において、打継ぎ面となる既存構造体コンクリートの表面については、特記がなかったので目荒らしとしてコンクリートを30 mm程度斫り、既存構造体の鉄筋を露出させた。
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→ 目荒らしは平均深さ2〜5 mm程度(最大5〜7 mm)です。鉄筋が露出するほど斫ってはなりません。30 mmは深すぎます。

【Q8】連続繊維補強工事におけるプライマーの施工については、コンクリート下地面を十分に湿潤させてから行った。
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→ エポキシ系プライマーは下地を乾燥させてから施工します。湿潤状態での施工は接着性が低下します(湿潤状態にするのはポリマーセメント系材料を使う場合)。

【Q9】枠付き鉄骨ブレースの設置工事において、既存の柱や梁に施す目荒らしについては、内部の付着性能を向上させるため電動ピックを用いて柱・梁の鉄筋が露出する程度に全面に渡って行った。
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→ 鉄筋が露出するほど削ってはなりません。目荒らしは打継ぎ面の15〜30 %の面積に平均深さ2〜5 mmで行います。

【Q10】後施工アンカーの施工後の引張試験において、引張荷重の確認値は「アンカー筋降伏による引張荷重」または「コンクリート破壊による引張荷重」の大きい方の2/3の値とした。
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→「大きい方」ではなく「小さい方」の2/3が正解です。安全側の値(小さい方)を採用することが重要です。

【Q11】耐震スリット新設工事において、スリット部分の鉄筋はコンクリートと一緒に切断した。
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→ 耐震スリット新設工事では鉄筋は切断しません。コンクリートのみ溝切りして、スリット材を挿入します。

【Q12】RC造の耐震壁増設工事において、圧入工法でコンクリートを充填する場合、オーバーフロー管の先端の高さは既存梁下よりも5〜10 cm高い位置とした。
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→ 正しい。圧入工法のオーバーフロー管は既存梁下よりも5〜10 cm高い位置に設けることで、コンクリートが確実に充填されたことを確認できます。

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