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【Vol.038】【1級建築士・計画】医療施設・高齢者施設を完全攻略|頻出数値と配置計画を一挙整理

【Vol.038】【1級建築士・計画】医療施設・高齢者施設を完全攻略|頻出数値と配置計画を一挙整理

建築士試験サポ塾 / 第14回講義|公開日:2026年6月13日

高齢者施設の全体像から医療施設の部門構成まで、学科「計画」の最頻出テーマを完全網羅。施設ごとの床面積基準・ユニットケアの落とし穴・感染症病室の陰圧管理など、試験で繰り返し出る数値と配置のルールをこの1記事でまとめて確認しましょう。

この記事は以下の講義動画をもとに作成しています

▶ 第14回 講義動画「医療施設・高齢者施設」を見る

1. 高齢者施設の全体像を把握する

高齢者施設は「在宅中心」を基本に考えます。在宅が困難になるにつれ、支援施設 → 在宅復帰を目指す施設 → 入所施設 へと段階的に移行します。まず全体像をフローで押さえることが、この単元攻略の第一歩です。

カテゴリ 主な施設 特徴
元気な高齢者 サービス付き高齢者向け住宅・シルバーハウジング・有料老人ホーム 自立生活が可能。床面積比較的広め
在宅支援 老人デイサービスセンター・在宅介護支援センター・小規模多機能型居宅介護事業所 日帰りまたは短期宿泊。在宅継続が前提
在宅復帰を目指す 介護老人保健施設・介護療養型医療施設 在宅復帰が目的。診療所機能は不要
入所(永住型) 特別養護老人ホーム(=介護老人福祉施設)・養護老人ホーム・認知症高齢者グループホーム 常時介護が必要。在宅復帰なし
覚え方の基本:10平米 ≒ 6畳
試験では「◯平米以上」という数値が頻出。10平米=約6畳と換算して覚えると、数値の大小感覚がつかみやすくなります。

床面積の基準まとめ(頻出数値)

施設名 1人あたり床面積 備考
サービス付き高齢者向け住宅 25平米以上(共用設備がある場合は18平米以上) 比較的広め。元気な高齢者向け
軽費老人ホーム(ケアハウス) 21.6平米以上(約13畳) 60歳以上・自炊困難者向け
特別養護老人ホーム(従来型) 10.65平米以上(約6畳) 常時介護が必要。広さより機能優先
介護老人保健施設(従来型) 8平米以上 ユニット型は10.65平米以上
小規模多機能型居宅介護事業所(宿泊室) 7.43平米以上(約4.5畳) 短期宿泊のみ。個室でも小さめ

2. ユニット型特別養護老人ホームの落とし穴

近年、ユニット型特養の問題が増えています。ユニットケアとは、10人前後の少人数グループを1ユニットとして、個室+共同生活室で家庭的な環境を作る手法です。

バツになる典型パターン
「2つのユニットを有する特養において、隣接するユニットの共同生活室を共用として2つのユニットが一体的に使えるようにした」→ バツ
共同生活室は1ユニットにつき1室が原則。複数ユニットで共有することはできません。

3. 認知症高齢者グループホームのポイント

中期程度の認知症の方を対象に、5人以上9人以下を1単位として小規模・家庭的な環境で生活させることで認知症の進行を緩やかにする入所施設です。

機能回復訓練室は「不要」
認知症高齢者グループホームは、機能訓練は行いますが、リハビリテーションのための機能回復訓練室を設ける必要はありません。これは頻出のバツ問ポイントです。

4. 在宅復帰を目指す施設:介護老人保健施設

試験で最も出やすい高齢者施設の1つです。「病院を退院した、病状が安定期にある要介護高齢者」が対象で、在宅復帰が目的です。

項目 内容
対象者 病状安定期の要介護高齢者
目的 在宅復帰の促進(永住型ではない)
診療所機能 必要としない(重要)
入所期間の目安 個人特性に応じて約3ヶ月程度
療養室の床面積(従来型) 8平米以上/人
療養室の床面積(ユニット型) 10.65平米以上/人
計算問題にも対応できるように
「4人部屋の療養室を28平米とした」→ 4人×8平米32平米以上が必要なのでバツ。数値と掛け算を組み合わせる問題も出ます。

5. リハビリテーションの3段階

リハビリテーションは「急性期→回復期→維持期」の3段階に分類されます。試験では期間の数値が頻繁に問われます。

段階 時期の目安 主な場所
急性期 発症後数日〜1ヶ月程度 急性期病院
回復期 2〜3ヶ月から6ヶ月程度(90〜180日) 回復期リハビリ病棟
維持期 6ヶ月以上 介護施設・在宅
注意:回復期は「90日〜180日」
「急性期リハビリテーションは90日〜180日かけてADLの改善を目指す」→ バツ。90〜180日(3〜6ヶ月)は回復期リハビリの期間。急性期は約1ヶ月。

6. 医療施設の種類と病床数基準

医療施設は病床数によって3種類に分類されます。

種類 病床数 のべ面積の目安
診療所 無床または19床以下
病院 20床以上
総合病院 200床以上 1床あたり40〜60平米程度
特殊建築物かどうかの判断ポイント
「患者の収容施設のない診療所」は特殊建築物には該当しません。入院設備(収容施設)がある診療所・病院は特殊建築物として扱われます。

7. 総合病院の部門構成と面積割合

総合病院は主に5部門から構成されています。面積割合も含めて覚えましょう。

部門 面積割合 主な内容
病棟部 約40% 内科・外科・小児科・産科・ICUなど
中央診療部 約20% 検査・放射線・リハビリ・手術部・LDRなど
外来診療部 約15% 救急・総合窓口
サービス部 約15% 給食・洗濯・搬送など
管理部 約10% 事務・経営管理

配置のルール(頻出)

部門配置の原則

  • 中央診療部は外来部門と病棟部門の間に配置する
  • 中央材料部(SPD部門)は中央診療部と外来診療部の間に配置する
  • 放射線部門は独立性・将来の拡張性を考慮して地階に配置することが望ましい
  • 皮膚科・泌尿器科・産科などプライバシーを要求する診療科は奥に配置する
  • 小児科は可能な限り他科と分離して扱うことが望ましい

8. 手術部の計画と病棟部のポイント

手術部

手術部は清潔性確保のため、多部門への通過動線から隔離することが原則です。ICU(集中治療室)やX線室とは近接させることが望ましい。

インタースティシャルスペース
医療行為を中断せずに設備更新ができるよう、手術室のある階の直上階に設備階を設けることをインタースティシャルスペースといいます。試験で問われる用語です。

病棟部の数値(頻出)

項目 数値
1看護単位の病床数(一般) 40〜50床程度
1看護単位の病床数(小児・産科) 30床程度(一般の約2/3)
病室1床あたり面積(法定最低) 6.4平米以上
病室1床あたり面積(一般的) 7〜10平米
病室出入口の有効幅 120cm以上(ストレッチャー対応)
病室の最大病床数(欧米基準) 4床以下

9. 廊下の有効幅(病院・法規横断比較)

建物用途 両側居室 片側居室
学校 2.3m 1.8m
病院(医療法) 2.1m 1.8m
精神病棟 2.7m 1.8m
診療所(建築基準法) 1.6m 1.2m
病院には医療法の幅が適用される
建築基準法の病院規定(両側1.6m・片側1.2m)と医療法の規定(両側2.1m・片側1.8m)は別物。実際の病院計画では医療法が優先されることが多い点に注意しましょう。

10. 感染症病室の陰圧・陽圧管理

感染症病室の計画では、空気圧の方向によって用途が変わります。コロナ禍以降、特に注目されています。

圧力区分 対象エリア 対応換気方式
陽圧(正圧) クリーンルーム・手術室・ICU・集中治療室 第2種換気(清潔エリア)
等圧 一般病室・廊下
陰圧(負圧) 感染症病室・汚物処理室・トイレ・浴室 第3種換気(汚染エリア)
感染症病室は「陰圧」が正解
「感染症病室において廊下に対して室内を陽圧に保ち、外部の汚染空気を室内に流入させずに無菌に近い状態を確保した」→ バツ。感染症病室は陰圧が正解。感染物質を室外に出さないためです。

前室のポイント

確実な圧力管理を行うために前室を設けることが重要です。前室のドアは病室側と廊下側が同時に開かないようにすること(一定の時間差を設ける)が求められます。

11. その他の重要用語

LDR(陣痛・分娩・回復室)

産科病棟において、陣痛・分娩・回復を1つの専用室で行う施設。別々の部屋ではなく一室で対応するのがポイント。ソファーや家庭的な雰囲気の設備が特徴です。

SPD(中央材料部)

病院内の物品管理を集中的に行う部門。サプライセンターとも呼ばれ、中央診療部と外来診療部の間に配置します。手術室とは搬送設備で直結させる計画が求められます。

ウェイファインディングデザイン

人が建物や都市空間の中で迷わず目的地に到達できるよう、空間構成・色彩・視線誘導・ランドマークなどを含めた環境デザインのこと。案内サインだけではなく、空間全体で道案内を行う設計概念です。

アフォーダンスとの混同に注意
「備品・機器を直感的に分かりやすく使えるようウェイファインディングデザインを採用した」→ バツ。「使いやすさの直感」はアフォーダンスの概念。ウェイファインディングは迷わず目的地へ到達させることが目的です。

12. 病院の避難計画:水平避難の重要性

病院では患者を垂直に避難させることが困難なため、水平避難(面積区画)が有効です。

方向 煙の速度 人の速度 対策
水平方向 0.5〜1m/秒 約1m/秒 水平に逃げる(面積区画)
垂直方向(上昇) 3〜5m/秒 非常に遅い 縦穴区画で防ぐ
病院は水平区画を積極的に設ける
「防火扉を設けると避難の妨げとなるので合格区画を設けない」→ バツ。病院こそ水平区画(面積区画)を多く設けて、同じ階の安全な区画へ水平移動できるよう計画することが大原則です。

実力チェック:○×問題 12問

講義で扱った頻出問題を確認しましょう。

2つのユニットを有するユニットケア型特別養護老人ホームにおいて、隣接するユニットの共同生活室を共用として2つのユニットが一体的に使えるようにした。
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×

→ 共同生活室は1ユニットにつき1室が原則。複数ユニットでの共用は不可。
急性期リハビリテーションは疾患に応じ90日から180日をかけて身体の機能やADLの改善を目指すものであり、専門的なリハビリテーション医療機能を持つ医療設備で行われている。
▶ 答えを見る
×

→ 90〜180日(3〜6ヶ月)は回復期リハビリの期間。急性期は約1ヶ月。
軽費老人ホーム(ケアハウス)は急性期の医療が終わり病状が安定期である患者のための長期療養施設である。
▶ 答えを見る
×

→ それは「介護療養型医療施設」の説明。ケアハウスは自炊困難な高齢者向けの入所施設。
認知症高齢者グループホームによってはリハビリテーションのための機能訓練室を設ける必要がある。
▶ 答えを見る
×

→ 機能訓練は行うが、機能回復訓練室を設ける必要はない。
総合病院の計画にあたり、ICUを機材の出し入れが多い手術室とは切り離し、常用できる病棟部門に配置した。
▶ 答えを見る
×

→ ICUは手術室と近接させることが望ましい。切り離してはいけない。
病院の感染症病室において廊下に対して室内を陽圧に保ち、外部の汚染空気を室内に流入させずに無菌に近い状態を確保できるようにした。
▶ 答えを見る
×

→ 感染症病室は陰圧が正解。感染物質を外部に出さないことが目的。
病院の病棟階において防火扉を設けると避難の妨げとなるので、階段やエレベーターなどの縦穴区画以外には防火区画を設けない。
▶ 答えを見る
×

→ 病院こそ水平避難のため面積区画を積極的に設けるべき。
LDRとは、陣痛・分娩・回復という出産の過程に応じてそれぞれに必要な設備が整った専用の部屋をそれぞれ設けるものである。
▶ 答えを見る
×

→ 「それぞれ」ではなく、1つの部屋で対応するのがLDRの特徴。
総合病院において、部門構成の外来部門は中央診療部門と病棟部門の間に配置した。
▶ 答えを見る
×

→ 外来部門ではなく、中央診療部が外来部門と病棟部門の間に配置される。
手術部の計画にあたり、各部門との速やかな連携や機材の搬出に配慮して多部門間の通過動線を手術部内に設けた。
▶ 答えを見る
×

→ 手術部は清潔確保のため多部門への通過動線から隔離するのが原則。
介護老人保健施設は、医療的ケアを必要とする要介護者に対し看護や機能訓練等を提供し、在宅における生活への復帰を目指す施設である。
▶ 答えを見る

→ 在宅復帰が目的。診療所機能は不要。正しい記述。
総合病院において患者や見舞客が病室に設置された備品・機器を混乱なく直感的に分かりやすく使えるよう、ウェイファインディングデザインを採用した。
▶ 答えを見る
×

→ 「直感的に使いやすくする」はアフォーダンス。ウェイファインディングは「迷わず目的地に到達させる」環境デザイン。

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