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【Vol.058】【1級建築士・施工】塗装工事を完全攻略|数値・塗料種類・作業環境まで徹底解説

建築士試験サポ塾 / 施工 第22回 / Vol.058

【Vol.058】【1級建築士・施工】塗装工事を完全攻略|数値・塗料種類・作業環境まで徹底解説

1級建築士試験の施工科目「塗装工事」を徹底解説。塗料の種類・適用下地・下地調整の手順から、スプレーガンの距離・速度などの重要数値、作業環境の気温・湿度条件まで、試験で問われるポイントを網羅します。○×チェック問題12問で理解度も確認できます。

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1. 塗料の基本と塗り本

塗料の構成

塗料は顔料(がんりょう)溶剤(ようざい)で構成されています。貯蔵中は施工時よりも粘度をやや高めに保つことで安定性を確保しています。そのため、施工前は指定のシンナーなどで適正な希釈割合の範囲内で粘度を調整します。

📌 ポイント:塗装の仕上がりを良好にするには
薄く何回も塗り重ねること。これにより「色むらをなくし」かつ「塗膜の厚さを確保」できます。

塗り本の作成と色見本の保存

  • 塗り本は工程塗りの各工程内容が目視できるものとして作成し、発注者または監督員の承認を受ける
  • 承認された色見本は工事完了まで保存する
  • 塗料はあらかじめ色合いを指定して製造所で調色したものを使用する(原則として現場調色はしない
  • ただし使用量が少ない場合は、管理者の承認により同製造所の同色に限って現場調色できる

使用前の確認

塗料は貯蔵中に分離・沈殿・皮張り・ゲル化などの変質を生じることがあります。使用直前によくかき混ぜて均一な状態にし、必要に応じてこし器で腰分けを行い、異物を取り除きます。

2. 施工方法と重要数値

刷毛(はけ)塗り

だれ・すじなどと色の境に注意しながら、基本的には上から下へ塗り進めます(タイル張りと同様)。

ローラーブラシ塗り

模様などのないように均一に塗り付けます。散り回り(隅・縁)などは小刷毛や専用ローラーブラシをあらかじめ塗っておきます(先行塗り)。

吹き付け塗り(スプレーガン)

📌 試験頻出の「30cm ルール」
・スプレーガンを塗り面から 30cm 程度離す
・塗り面に対して直角に保ちながら平行に移動して吹き付ける
・スプレーガンの移動速度:1秒間に 30cm 程度
・1行ごとに吹き付け幅が 1/3 ずつ重なるように吹き付ける

端部が薄くなりやすいため、1/3ずつ重ねることで均一な塗膜を確保します。「30cm・30cm・1/3」は必ずセットで覚えましょう。

塗り厚(塗付け厚さ)の目安

仕上げ種別 塗付け厚さの目安
薄付け仕上げ(単層) 3mm 以下
複層仕上げ塗材(下塗り+取材+上塗りなど複数工程) 3〜5mm 程度

複層仕上げ(マスチック)の工法

複層仕上げ塗材において、仕上げ形状が凹凸状の部分は吹き付け、形状が柚子肌状(ゆずはだ)の部分はローラー塗りとします。

3. 下地調整の手順

木部の下地調整

  1. 汚れ・付着物の除去
  2. 研磨(やすり)
  3. 節止め(やに止め)
  4. パテ処理
  5. 研磨

↓ ここから塗装へ

金属の下地調整

  1. 汚れ・付着物の除去
  2. 油類の除去
  3. 錆落とし
  4. 化成被膜処理

↓ ここから塗装へ

セメント系・石膏系の下地調整

  1. 汚れ・付着物の除去
  2. 吸い込み止め(シーラー塗布)
  3. パテ処理
  4. 研磨
⚠️ 注意:シーラーは必ずパテより先!
給水性の高い下地では、先にシーラーで吸い込みを抑えないと、後から施工するパテや塗料中の水分が下地に急激に吸収されます。これがパテの乾燥不良・密着不良の原因となります。
シーラー塗布 → 穴埋め・パテの順序を守ること。

4. 塗料の種類と適用下地

塗料名 略称 特徴・適用
合成樹脂調合ペイント SOP 油性。亜鉛メッキ面・鉄鋼面・木質下地用。耐アルカリ性が低いため、コンクリート・モルタルには不適。木部は24時間以上の放置が必要。亜鉛メッキ面にはエッチングプライマーを下塗り。
合成樹脂エマルションペイント EP 水性。セメント系・石膏ボード・プラスター・木質系下地用。金属面には不適。耐アルカリ性に優れ、無臭・耐汚染性良好。水で希釈可。EPG(艶あり)・EPT(艶なし)の2種あり。
アクリル樹脂系・ビニル樹脂系 木質ボード用。1種:建築物の外部・水がかり部分。2種:建築物内部用。1種の方が耐候性で優れる。
ウレタン樹脂塗料(1液系) ワニス フローリング等の木部仕上げ。弾性があり木材の伸縮に追従。1液系は現場での混合不要で品質のばらつきが少ない。
粉体塗装(ふんたいとそう) アルミニウム形材(フェンス・サッシ等)に使用。溶剤を含まずVOC(揮発性有機化合物)の低減が図れる。粉末状の塗料を静電力で付着させ、加熱溶融して塗膜を形成。

鉄鋼面への下塗り(錆止め)の種類

  • 鉛丹錆止めペイント
  • シアナミド鉛錆止めペイント
  • 鉛丹クロムフリー錆止めペイント

亜鉛メッキ面への下塗り

  • 塩基性クロム酸カルシウム錆止めペイント塗り
  • 変性エポキシ樹脂プライマー

5. 作業環境の条件

コンクリート下地の乾燥期間(下地調整できる最短期間)

時期 必要乾燥期間
夏期 21日以上
春・秋期 21〜28日
冬期 28日以上(1ヶ月以上)
⚠️ 試験頻出の数値ミス注意:
塗装工事における冬期の乾燥期間は 28日以上。「コンクリートの養生日数は28日」と混同しないこと。夏期は 21日 で問題ない。

作業中止・制限の条件

条件 原則
気温 5℃以下 原則作業中止(仮囲い・ビニールシート・ヒーターで保温すれば施工可)
湿度 85%以上 原則作業中止
下地表面の含水率 10%以下が望ましい
強風・降雨・降雪・高湿など 砂じん・噴じん・水滴が塗膜に付着するおそれがある場合は作業中止
📌 ポイント:塗料の自然発火に注意
塗料が付着したウエスなどを放置すると自然発火のおそれがあります。作業終了後は速やかに保管箱に収め処分します。

6. 塗装の検査・その他

検査の方法

  • 塗膜厚検査:膜厚計などで塗料の膜厚を測定する
  • 使用量による確認:使用缶数・袋数から塗付け量を換算して適正量を確認する
  • 塗り残し・塗り付け量などについて検査を行う

安全データシート(SDS)の整備

塗料・接着剤などの感化製品の取り扱いにあたっては、製造所が作成した安全データシート(SDS)を整備し、記載内容の周知徹底を図り、作業者の健康・安全確保と環境保全に務めます。

重要数値まとめ

項目 数値
スプレーガンの離れ距離 30cm程度
スプレーガンの移動速度 1秒間に30cm程度
吹き付け幅の重なり 1/3ずつ重なる
薄付け仕上げの塗付け厚さ 3mm以下
複層仕上げの塗付け厚さ 3〜5mm程度
作業中止(気温) 5℃以下
作業中止(湿度) 85%以上
下地含水率(望ましい値) 10%以下
コンクリート下地乾燥(夏期) 21日以上
コンクリート下地乾燥(冬期) 28日以上
木部の放置時間(SOP塗装) 24時間以上

✅ 実力チェック|○×問題

各問題が正しければ○、誤りであれば×で答えてください。

問1. 塗料は、貯蔵における安定性を保つため、施工時の条件に適した粘度よりもやや高い粘度に調整されている。
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→ 正しい。塗料は貯蔵安定性のため施工時より高粘度に保たれており、施工前にシンナーなどで適正粘度に調整します。

問2. 塗り本は各工程内容が目視できるものとして作成し、発注者または監督員の承認を受ける。承認された色見本は工事完了まで保存する。
▶ 答えを見る

→ 正しい。塗り本の承認と保存に関する基本事項です。

問3. 塗装の仕上がりを良好にするには、一度に厚く塗ることで塗膜の厚さを確保することが重要である。
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→ 誤り。塗装の仕上がりを良好にするには「薄く何回も塗り重ねる」ことが正しい。厚塗りは色むらや乾燥不良の原因になります。

問4. 吹き付け塗りにおいて、スプレーガンは塗り面から30cm程度離し、塗り面に対して直角に保ちながら平行に移動して吹き付ける。
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→ 正しい。スプレーガンは面から30cm離し、直角かつ平行移動が基本です。

問5. 吹き付け塗りでは、1行ごとに吹き付け幅が1/2ずつ重なるように吹き付けていく。
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→ 誤り。重なりは「1/3ずつ」です。1/2ではありません。

問6. セメント系下地の調整では、シーラー(吸い込み止め)を塗布した後にパテ処理を行う。
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→ 正しい。シーラーで吸い込みを抑えてからパテを行います。逆にするとパテの乾燥不良・密着不良の原因になります。

問7. 合成樹脂調合ペイント(SOP)は耐アルカリ性に優れており、コンクリート面やモルタル面にも使用できる。
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→ 誤り。SOPは耐アルカリ性が低いため、コンクリート・モルタルには不適です。これらにはEP(合成樹脂エマルションペイント)が適します。

問8. 合成樹脂エマルションペイント(EP)は金属面にも使用できる。
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→ 誤り。EPは水性のため金属面には不適です。金属面にはSOP(油性)などを使用します。

問9. 気温が5℃以下の場合は、いかなる方法を用いても塗装作業を行うことはできない。
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→ 誤り。原則中止ですが、仮囲いやビニールシート・ヒーターなどで保温措置を施せば施工可能です。

問10. コンクリート下地への塗装工事において、冬期に下地調整を行う場合は、コンクリート打設後14日以上の乾燥期間が確保されていれば作業を開始できる。
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→ 誤り。冬期のコンクリート下地への塗装の下地調整は28日以上(1ヶ月以上)の乾燥期間が必要です。14日は不足します。

問11. コンクリート外壁面への塗装仕上げ工事は、下地表面の含水率が20%でも施工できる。
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→ 誤り。塗装仕上げの下地表面含水率は10%以下が望ましいとされています。20%は過多です。

問12. 粉体塗装(ふんたいとそう)は溶剤を含まないため、VOC(揮発性有機化合物)の低減が図れ、アルミニウム形材などに使用される。
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→ 正しい。粉体塗装は粉末状の塗料を静電力で付着させ加熱溶融する方法。環境負荷が小さくアルミ形材(フェンス・サッシなど)に多用されます。

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記事内容は授業動画のトランスクリプトをもとに構成しています。試験勉強の参考としてご活用ください。

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