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【Vol.048】【1級建築士・施工】鉄骨工事①を完全攻略|鋼材の種類・溶接・高力ボルトの要点まとめ

Vol.048 / 施工 第12回 / 2026.06.14

【Vol.048】【1級建築士・施工】鉄骨工事①を完全攻略|鋼材の種類・溶接・高力ボルトの要点まとめ

鉄骨工事①(加工編)では、鋼材の種類(SS・SM・SN・BCP・BCR・STKR)から溶接条件・高力ボルトの規定まで、試験頻出の数値が多数登場します。この記事では講義のポイントを体系的に整理し、確認問題で理解度をチェックできます。

▼ 講義動画はこちら(YouTube Live アーカイブ)

https://youtube.com/live/iWbNS3KsTeQ

1. 鋼材の種類(SS・SM・SN)

構造用圧延鋼材は大きく SS・SM・SN の3種類に分類されます。

記号 名称 特徴
SS 一般構造用圧延鋼材(Steel Structure) 最も基本的な鋼材。溶接には不向き。
SM 溶接構造用圧延鋼材(Steel Marine) 溶接に特化。造船用途から発展。
SN 建築構造用圧延鋼材(Steel New) 最も新しい。B種・C種は溶接性に優れ、柱・梁・筋かいに使用。

SN材の種別ポイント

SN400A:降伏点の下限のみ規定。溶接に適さない。塑性変形能力を期待しない部位(小柱など)に使用。
SN400B・SN490B:降伏点の上・下限+降伏比が規定。溶接性・変形能力が保証される。柱・梁・筋かいに使用。
SN400C・SN490C:厚さ方向に大きな引張応力を受ける部材(ダイアフラムなど)に使用。
降伏比は小さい方が良い。降伏点と引張強度の差が大きいほど塑性変形能力が高い。B・C種で降伏点の上限を設けるのは、梁先行降伏型崩壊(梁が先に降伏→柱が後)を計画通り成立させるため。

2. 角形鋼管(BCP・BCR・STKR)

性能の高い順:STKR(捨てカン)< BCR(びっくり)< BCP(ビッグパパ)

記号 製法 数値の意味 備考
BCP プレス→溶接(1〜2箇所、CM溶接) 降伏点の下限値(235・325) 400〜900角、SN材相当
BCR ロール曲げ→溶接(1箇所) 降伏点の下限値(295など) 250〜500角
STKR ロール曲げ→溶接 引張強度(400・490) 構造的な性能保証なし。柱・台風梁など。
BCP板厚 12mm未満:降伏点の下限値のみ規定。
BCP板厚 12mm以上:降伏点の上限も規定+シャルピー衝撃値の下限値も規定。

3. 鉄骨製作工場のグレード

グレードは J → R → M → H → S(ジュニア→レギュラー→ミディアム→ハイ→スーパー)の順に性能が高くなります。

Mグレードの製作範囲(試験頻出)

・買高などの規模による規定はない。
・400級・490級の炭素鋼で板厚 40mm以下 まで製作可能。
・作業条件:溶接は原則下向きまたは横向き(上向き溶接は不可)。
・Hグレードは板厚 60mm以下 まで製作可能。

また、板厚 6mm以上 を重量鉄骨、6mm未満 を軽量鉄骨と呼びます。

4. 溶接の基礎知識

溶接用語

用語 説明
ベベル角度 溶接面の垂直ラインと斜め部分のなす角度(面取り角度)
開先角度 V字部分全体の角度(ベベル角度×2)
ルート面 開先底部の平らな部分
ルート間隔 対向する母材間の隙間
エンドタブ 溶接を端から端まで行うために継ぎ足す補助部材
スカラップ 溶接線を通すためにウェブなどに設ける切欠き(近年はノンスカラップが主流)
ビード 溶接後に盛り上がった部分(溶着金属の列)

組立溶接(仮溶接)のビード長さ

板厚 6mm以下:ビード長さ 30mm以上
板厚 6mmを超える:ビード長さ 40mm以上

ショートビードは溶接割れの原因となるため注意!

組立溶接の禁止位置:裏当て金を用いた柱梁接合部において、梁フランジの両端から5mm以内、ウェブフィレット部のR止まり・隅肉溶接部から5mm以内の位置には行わない。エンドタブの組立溶接もフランジに直接行わず、裏当て金部分に行う。

溶接条件(温度・風)

条件 規定
気温 −5℃を下回る場合 溶接を行ってはならない
気温 −5℃〜5℃ 接合部より 100mm 範囲の母材を適切に加熱すれば可
ガスシールドアーク溶接・風速 2m/s以上 の場合は溶接不可(防風措置をすれば可)
溶接部の錆止め塗装禁止範囲 溶接部両側それぞれ 100mm
錆止め塗装の中止条件 気温5℃以下 または 相対湿度85%以上 または 鋼材表面50℃以上

溶接の種類

種類 分類 特徴
被覆アーク溶接 手溶接 消耗電極式。アーク熱(約6000℃)を利用。
ガスシールドアーク溶接 半自動溶接 炭酸ガスシールドで酸化防止。ソリッドワイヤは乾燥不要。
サブマージアーク溶接 自動溶接 粒状フラックスと溶接ワイヤ使用。工場溶接が基本。溶込みが深いため裏はつりを省略できる場合あり。
エレクトロスラグ溶接 自動溶接 スラグ溶の抵抗熱を利用。ボックス柱のスキンプレート+ダイアフラムの溶接に使用。

完全溶込み溶接・隅肉溶接の規定

板厚の段差
・段差 3mm以下:薄い方から厚い方へ溶接表面を滑らかに移行させる。
・段差 3mmを超える:厚い方をテーパー加工して段差を3mm以下にしてから移行。

隅肉溶接のサイズ(S):短い方(薄い方)の母材厚さに合わせる。有効のど厚=S×0.7

隅肉溶接の有効長さ:全長L として、有効長さ= L−2S(両端マイナス)

溶接余盛り高さの許容値
・溶接幅15mm未満:0〜3mm
・溶接幅15mm以上25mm未満:0〜4mm

ダイアフラムの板厚:ボックス柱の梁接合部のダイアフラムは、フランジより 1〜2ランク厚い 板厚とする(完全溶込み溶接)。

入熱・パス間温度管理:多層パス溶接では各パス間を適切に冷却し、溶接入熱による強度低下を防止する。

5. 高力ボルト摩擦接合

すべり係数・摩擦面処理

すべり係数 0.45以上(大きいほど滑りにくい)。
※余裕の場合は 0.4以上

摩擦面処理の方法
①ショットブラスト・グリッドブラスト処理(50μmRz以上確保。赤錆不要)
②屋外に自然放置して薄い赤錆を発生させる
③塩酸(リン酸)処理による強制発錆
※亜鉛めっき部材の摩擦面:ブラスト処理またはリン酸処理のいずれかを行う。

穴あけ加工はブラスト処理前(加工後にブラスト処理)に行う。

ボルト穴の径(試験頻出)

ボルト種別 径 d 穴径の最大値
高力ボルト d ≦ 27mm d + 2mm
d > 27mm d + 3mm
普通ボルト d < 20mm d + 1mm
d ≧ 20mm d + 1.5mm
アンカーボルト 全径 d + 5mm
頻出! M20の高力ボルト穴径 = 22mm(d + 2mm)
穴径精度:±0.5mm

ボルト中心間距離・端距離・へり空き

中心間距離:2.5d以上(頻出)
端あき:1.5d以上
へり空き:1.25d以上

6. 穴あけ加工・曲げ加工

穴あけ加工のルール

条件 加工方法
原則 ドリル開け
板厚13mm以下の一般穴 せん断穴あけ可(バリ除去必要)
高力ボルト用穴 板厚に関係なくドリル開け(工事現場での加工不可・工場で実施)
工事管理者の承認がある場合 レーザー穴あけも可
径30mm以上の大穴 ガス切断使用可
フランジへの穴あけは絶対禁止。穴あけはすべてウェブに行う。
鉄骨のフランジは耐力上重要なため、穴を開けると著しく耐力が低下する。

鉄筋貫通穴の径

鉄筋径の 1.1倍+10mm 程度
例:D25 → 25×1.1+10 = 37.5mm → 38mm(切り上げ)

曲げ加工(内側曲げ半径)

部位・条件 内側曲げ半径 R
柱材・梁・ブレース端部など(塑性変形能力要求部位)/応力方向が曲面に沿う方向 8t以上
柱材・梁・ブレース端部など(塑性変形能力要求部位)/応力方向が上記の直角方向 4t以上
上記以外 2t以上

なお、加熱加工を行う場合の赤熱状態は 850〜900℃。青熱脆性域(200〜400℃)での加工は禁止。

✅ 実力チェック|○×問題

各問題が正しければ○、誤りであれば×で答えてください。

【Q1】SN材のA種は溶接性に優れており、柱・梁などの主要構造部に使用される。
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→ SN400AはA種であり溶接には適さず、塑性変形能力を期待しない部位(小柱など)に使用される。溶接性と塑性変形能力が保証されるのはB種・C種。

【Q2】BCPおよびBCRの記号に付く数値(235・325など)は引張強さの下限値を示す。
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→ BCP・BCRの数値は降伏点の下限値を示す。引張強さの下限値を示すのはSS・SM・SN・STKRなど。

【Q3】Mグレードの鉄骨製作工場では、板厚40mmを超える400級・490級炭素鋼の製作はできない。
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→ MグレードはJASS6で400級・490級の炭素鋼板厚40mm以下まで製作可能と規定されている。

【Q4】組立溶接において板厚が6mmを超える場合、ビードの長さは30mm以上を確保する必要がある。
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→ 板厚が6mmを超える場合のビード長さは40mm以上。30mm以上が必要なのは板厚6mm以下の場合。

【Q5】裏当て金を用いた柱梁接合部の裏当て金の組立溶接は、梁フランジの両端から5mm以内の位置に行ってはならない。
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→ 正しい。フランジ両端から5mm以内・ウェブフィレット部Rどまりから5mm以内には組立溶接を行わない。ショートビードが熱影響部の靭性を低下させ、脆性破壊の起点になるおそれがあるため。

【Q6】溶接作業において気温が−5℃を下回る場合、接合部より100mmの範囲の母材を加熱すれば溶接を行うことができる。
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→ 気温が−5℃を下回る場合は溶接を行ってはならない。100mm加熱の規定は−5℃〜5℃の範囲に適用される。

【Q7】ガスシールドアーク溶接において風速が2m/s以上の場合、防風措置を行えば溶接を実施してよい。
▶ 答えを見る

→ 正しい。風速2m/s以上は原則溶接不可だが、防風措置を行った場合はこの限りではない。

【Q8】完全溶込み溶接において板厚の段差が3mmを超える場合、薄い方から厚い方へそのまま滑らかに移行させればよい。
▶ 答えを見る

→ 段差が3mmを超える場合は、まず厚い方をテーパー加工して段差を3mm以下に抑えてから、薄い方から厚い方へ滑らかに移行させる。

【Q9】高力ボルト摩擦接合のすべり係数は0.45以上を確保する必要があり、値が大きいほど滑りにくい。
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→ 正しい。すべり係数は0.45以上が基本(余裕の場合は0.4以上)。大きい値ほど摩擦力が高く滑りにくい。

【Q10】板厚13mmの鉄骨に高力ボルト用の穴あけを行う場合、せん断穴あけとすることができる。
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→ 高力ボルト用の穴あけは板厚に関係なくドリル開けとする。せん断穴あけが許容されるのは高力ボルト以外の一般の穴(板厚13mm以下)のみ。

【Q11】M20の高力ボルトの穴径最大値は23mmである。
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→ M20はd≦27mmなのでd+2mm=22mmが穴径最大値。23mmではない。穴径精度は±0.5mm。

【Q12】鉄骨の常温曲げ加工において、塑性変形能力が要求される部位で応力方向が曲げ面に沿う方向の場合、内側曲げ半径は板厚tの4倍以上必要である。
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→ 応力方向が曲げ面に沿う方向(緩やかなカーブを要求される場合)は8t以上が必要。4t以上は応力方向が直角方向の場合。

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