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【Vol.056】【1級建築士・施工】防水工事を完全攻略|重ね幅・数値・施工順序を徹底整理

建築士試験サポ塾 / 施工 第20回

【Vol.056】【1級建築士・施工】防水工事を完全攻略|重ね幅・数値・施工順序を徹底整理

Vol.056 / 施工 第20回 / 防水工事

この記事でわかること

  • 防水工事の全体像(メンブレン防水/シーリング工事)
  • アスファルト防水・改質アスファルト・シート防水・塗膜防水の施工手順と数値
  • 重ね幅・増し張り幅・勾配・目地ピッチなど試験頻出数値を一括整理
  • 平場と立上がりの施工順序(工法ごとに異なる!)
  • シーリング工事の用語・施工ポイント

動画でも解説しています|サポ塾 施工 第20回

▶ YouTubeで視聴する:防水工事を完全攻略

1.防水工事の全体像

防水工事は大きくメンブレン防水工事シーリング工事に分類されます。

メンブレン防水とは、広い面積に薄い不透水被膜を形成した防水層を使って全面的に行う防水工事の総称(面防水工事)です。メンブレン防水はさらに以下の4種に分かれます。

工法大分類 主な種別
アスファルト防水工事 密着工法・絶縁工法(保護仕様・露出仕様)・断熱工法
改質アスファルト防水工事 トーチ工法・常温粘着工法
シート防水工事 加硫ゴム系(接着工法)・塩化ビニル樹脂系(機械的固定工法)
塗膜防水工事 ウレタンゴム系・アクリル系・ゴムアスファルト系・FRP系

2.防水工事の共通下地条件

下地の勾配

防水施工前の下地の段階から勾配を設けておきます。

仕上げ種別 勾配
保護コンクリートを打設する場合 1/100〜1/50
仕上げ塗装またはそのままとする場合 1/50〜1/20

下地の含水率・平坦性

防水施工直前の下地の含水率は 8%以下。浮き・脆弱部・目違いなどの欠陥がないこと。問題箇所はポリマーセメントなどで平滑に補修する。

出隅・入隅の面取り

工法 出隅の面取り 入隅
アスファルト防水(改質以外) 約30mm(通直または丸面) 約70mmの面取り(45°)
改質アスファルト・シート・塗膜防水 3〜5mmの面取り 直角でよい
注意:出隅は全て面取りが基本。アスファルト防水の入隅は必ず面取り(約70mm)。

ルーフドレーン(排水口)の注意点

  • ドレン周りの防水層の貼り掛け幅(塗り掛け幅):50mm以上
  • ドレンはコンクリート打設前に型枠に固定する(打設後に設置すると弱点になる)
  • 小規模屋根を除き2箇所以上設ける
  • 横型ドレンの場合:スラブ天端から30〜50mm下げて固定する
  • 顎付きパラペット(縦引きドレン):顎の垂直面からドレン中心までの距離
    ドレン径 φ150mm → L=400mm、ドレン径 φ100mm → L=350mm

3.アスファルト防水工事

密着工法

下地と防水層をアスファルトで全面接着する工法。欠点は下地コンクリートの亀裂により防水層が破断しやすいこと。

施工手順:アスファルトプライマー塗布 → アスファルトルーフィング1500(1.5mm厚)敷き込み → ストレッチルーフィング1000(1mm厚)2層張り → アスファルト流し

絶縁工法

一般部分の防水層を下地面に部分接着とし、周辺と立上がり部を全面密着とする工法。下地コンクリートの亀裂を拾いにくい。

仕様 施工手順(概略)
絶縁保護仕様 プライマー → 砂付き穴あきルーフィング(砂付き面を下)→ ルーフィング1500 → ストレッチ1000(2層)→ 砂利敷き
絶縁露出仕様 プライマー → 粘着付きアスファルトシート(部分接着)→ 砂付きストレッチルーフィング(砂付き面を上)
絶縁断熱工法 プライマー → ルーフィング1500 → ポリエチレン断熱材 → 改質アスファルトルーフィング → 砂付きストレッチルーフィング800(砂付き面を上)

アスファルトプライマーの注意点

プライマー塗布後 8時間以上 経過してから次工程(ルーフィング貼り付け)に移る。溶剤タイプと水性(エマルション)タイプがある。

アスファルトの性状・数値

項目 3種(温暖地) 4種(寒冷地)
軟化点 100°C以上 90°C以上
引火点 280°C 280°C
針入度(25°C、100g荷重) 5以上(0.5mm以上) 6以上(0.6mm以上)
溶融温度の上限 軟化点+170°C(約270°C程度)
施工時最低温度 200°C程度以下にならないようにする

施工ポイント・重ね幅まとめ

部位・条件 数値
一般平場のルーフィング重ね幅(長手・幅方向とも) 100mm程度
水上側から貼り付ける場合の重ね幅 150mm以上
出隅・入隅部の増し張り用ストレッチルーフィング幅 300mm程度
PC打継ぎ部・目地部の絶縁テープ幅 50mm程度
ドレン周りの増し張り用ストレッチルーフィング幅 200mm程度
立上がり高さが300mm以上の場合 平場と立上がりを別々に貼り付ける(平場が先
末端部の処理:ゴムアスファルト系シール材で処理(ポリウレタン系シール材ではない)。
ルーフィングの貼り方向:水下から水上へ(水上のものを水下に重ねる)。

脱気装置(抱気装置)

露出防水層が直射日光で加熱され、スラブ内の水が水蒸気になり防水層が膨れる現象を防ぐための装置。

脱気装置は絶縁工法専用。密着工法には使用しない。平場用と立上がり用があり、防水面積が大きい場合は両方使用可。

保護コンクリート

  • 防水層の上に絶縁シートを全面敷き込み → 粘着テープで固定 → 保護コンクリート打設(厚さ80mm以上
  • 伸縮目地ピッチ:縦横3mごと
  • 立上がり面から600mm以内に設ける(際目地)
  • 絶縁伸縮目地の本体幅20mm以上、キャップ幅25mm
  • 立上がり部の保護に使用する監式(かんしき)保護板:高さ600mm以下

4.改質アスファルト防水工事

トーチ工法

バーナーでルーフィングを炙りながら溶着する工法。臭気が少なく室内施工にも使用される。

  • 重ね幅:長手・幅方向とも100mm以上
  • 出隅・入隅の増し張りシート:200mm角程度(アスファルト防水の300mmと区別)
  • PC部材の継手目地:幅300mm程度の増し張りシートを両端に100mm以上ずつかかるよう貼り付ける
  • 先に貼り付けたシートとの切り合い箇所はシート裏面を十分にトーチで炙り、アスファルトがはみ出す程度まで密着させる
  • 立上がり部は押さえ金物で固定 → ゴムアスファルト系シール材で処理
数値の比較(増し張りシート幅):
・アスファルト防水(出隅・入隅)→ 300mm
・改質アスファルト(出隅・入隅)→ 200mm角
・ドレン周り(アスファルト防水)→ 200mm

常温粘着工法

裏面の離型フィルムを剥がしながら転圧ローラーで押し広げ密着させる工法。トーチ不要で室内施工に最適。

施工手順:プライマー → 粘着層付きアスファルトシート(部分接着型)→ 粘着層付き改質アスファルトシート(全面接着型)→ 露出防水用粘着層付き改質アスファルトシート(全面接着型)

5.シート防水工事(合成高分子系)

加硫ゴム系シート防水(接着工法)

施工手順:プライマー → 接着剤塗布(オープンタイムあり)→ シート貼り付け → 仕上げ塗装

ルーフィングシートに引っ張り力を与えないように、かつシワが生じないように、空気の巻き込みがないようにローラーで転圧して貼り付ける。
部位 接合幅(重ね幅)
一般平場 100mm
平場と立上がりの取り合い部 150mm(平場と立上がりそれぞれ50mmずつ以上)

出隅・入隅の増し張りは「非加硫ゴム系」シートで行う(加硫ゴム系とは区別)。

塩化ビニル樹脂系シート防水(機械的固定工法)

施工手順:絶縁マット敷き込み → ディスク版(固定金具)を釘で固定(ピッチ約60cm)→ シート貼り付け → ジョイント溶着

  • 下地が多少濡れていても施工可能(機械的固定のため)
  • 一般に非歩行用として使用
  • シート相互の接合幅:平場・立上がり取り合いともに40mm
  • 出隅・入隅処理:シート施工に役物を貼り付け、端部はシール材で処理
重要:接合幅の比較
加硫ゴム系(接着工法):平場 100mm、取り合い 150mm
塩ビ系(機械的固定工法):平場・立上がりともに 40mm(極端に小さい!)

6.塗膜防水工事(ウレタンゴム系)

ウレタンは接着力・耐水性・弾力性(下地追従性)に優れる。アクリルは表面が硬く追従性が低い。

施工手順:プライマー → 防水剤(+接着剤)→ 補強布張り付け → 塗膜防水1層目 → 2層目(→ 3層目)

項目 数値・内容
補強布(メッシュ)の相互重ね幅 50mm
塗り付けの重ね幅(一般) 100mm内外
亀裂が0.5mm超の箇所のUカット処理後の補強布幅 100mm
出隅・入隅・ドレン周りの補強布幅 100mm
施工順序 立上がりが先、平場が後(シート防水と逆!)
塗り重ね方向 前層の塗り方向に直交して塗り重ねる
施工順序の比較(必須!)
塗膜防水 → 立上がりが先、平場が後
シート防水 → 平場が先、立上がりが後
(アスファルト防水も平場が先)

7.ステンレスシート防水

主に体育館・ドームなどの屋根に使用。厚さ0.4mmのステンレスシート・チタンシートの全てのめをシーム溶接(円盤状電極を回転させて連続的に加熱溶接)で防水層を形成する。

項目 数値
Tジョイントの折り曲げ(吊り)寸法 150mm折り曲げを倒す
吊り部の固定間隔:一般部 600mm
吊り部の固定間隔:端部 450mm
吊り部の固定間隔:隅角部 300mm

8.シーリング工事

用語の定義

用語 内容
1成分系 あらかじめ施工できる状態に調整済み。練り混ぜ不良が起こらない
2成分系 基材と硬化剤を現場で混合して使用
ムーブメント 地震力・風圧力・温度変化等により部材間に生じる動きや変形
ワーキングジョイント ムーブメントが比較的大きい目地(カーテンウォール目地など)→ 2面接着
ノンワーキングジョイント ムーブメントが比較的小さい目地(RC打継ぎ目地・RC躯体と建具取り合いなど)→ 3面接着
バックアップ材 シーリング剤の充填深さを所定寸法に保持するための発泡材。底のない目地にも使用
ボンドブレーカー 目地底にシーリング剤を接着させないためのテープ状材料。3面接着を防止

施工手順と施工ポイント

施工手順:接着面の清掃 → バックアップ材充填またはボンドブレーカー貼り → マスキングテープ → プライマー塗布 → シーリング剤充填 → ヘラ押さえ仕上げ → テープ速やかに剥がす

施工ポイント
・異種シーリング材の打ち継ぎは原則として避ける。やむを得ず打ち継ぎを行う場合はシリコン系を後打ちにする(シリコンが先だと他材の密着が悪くなる)。
・気温5°C以下になるおそれがある時は施工してはならない(保温養生により5°C以上を確保すれば可)。
・充填の打ち始めは原則として隅部から
・マスキングテープは仕上げ終了後速やかに剥がす。

9.試験頻出数値まとめ

数値 内容
8%以下 防水施工直前の下地含水率
30〜50mm 横型ドレンのスラブ天端からの下げ量
350・400mm 顎付きパラペット縦引きドレン:顎垂直面からドレン中心距離(φ100→350mm、φ150→400mm)
50mm以上 ドレン周りの防水層の貼り掛け・塗り掛け幅
8時間以上 アスファルトプライマー塗布後の経過時間(翌日施工が一般的)
100mm アスファルト防水・改質AS・加硫ゴム系シートの一般平場重ね幅(基本値)
150mm以上 水上側から貼る場合の重ね幅 / 加硫ゴム系シートの取り合い部
200mm程度 アスファルト防水ドレン周り増し張り幅 / 改質AS出隅・入隅増し張り(200mm角)
300mm程度 アスファルト防水の出隅・入隅増し張り幅 / PC継手目地の増し張り幅
40mm 塩ビ系シート(機械的固定工法)の接合幅
50mm 絶縁テープ幅 / 塗膜防水:補強布の相互重ね幅
80mm以上 保護コンクリートの厚さ
縦横3m 保護コンクリート伸縮目地ピッチ
600mm以内 立上がり面からの際目地距離
150mm ステンレスシート防水Tジョイントの折り曲げ(吊り)寸法
600・450・300mm ステンレスシート防水の吊り固定間隔(一般部・端部・隅角部)
5°C以下 シーリング工事を施工してはならない気温

✅ 実力チェック|○×問題

各問題が正しければ○、誤りであれば×で答えてください。

問1.防水施工直前の下地の含水率は、10%以下であることを確認した。
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→ 防水施工直前の下地の含水率は 8%以下。10%以下は誤り。

問2.アスファルト防水工事において、アスファルトプライマーを塗布した直後(乾燥確認後30分)に1層目のルーフィングを貼り付けた。
▶ 答えを見る

→ アスファルトプライマー塗布後は 8時間以上 経過してから次工程を行う。30分では不足。

問3.アスファルト防水工事の密着工法では、脱気装置を設けた。
▶ 答えを見る

→ 脱気装置は 絶縁工法 で使用するもの。密着工法には使用しない。

問4.塗膜防水工事(ウレタンゴム系)において、平場を先に施工し、その後立上がり部を施工した。
▶ 答えを見る

→ 塗膜防水は 立上がりが先、平場が後。シート防水(平場先)と逆になるので要注意。

問5.塩化ビニル樹脂系シート防水(機械的固定工法)のシート相互の接合幅は、平場・立上がり取り合いともに100mmとした。
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→ 塩ビ系(機械的固定工法)の接合幅は 40mm。100mmは加硫ゴム系の平場の値。

問6.加硫ゴム系シート防水(接着工法)において、平場と立上がりの取り合い部の接合幅を150mmとした。
▶ 答えを見る

→ 加硫ゴム系シートの平場と立上がり取り合い部は 150mm(平場は100mm)。正しい。

問7.アスファルト防水工事において、保護コンクリートの伸縮目地は縦横5m間隔で割り付けた。
▶ 答えを見る

→ 保護コンクリートの伸縮目地ピッチは縦横 3m。5mは誤り。

問8.屋根保護防水密着工法のアスファルト防水工事において、立上がり部の出隅は直角仕上げとし、入隅は約70mmの面取りとした。
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→ アスファルト防水の出隅は 約30mmの面取り(直角ではない)。入隅の70mm面取りは正しい。

問9.塗膜防水工事において、防水剤の塗り重ね幅を50mm、補強布の重ね幅を100mmとした。
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→ 塗膜防水の塗り付けの重ね幅は 100mm内外、補強布の重ね幅は 50mm。数値が逆。

問10.シーリング工事において、コンクリートの打継ぎ目地(ノンワーキングジョイント)には2面接着とした。
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→ ノンワーキングジョイント(打継ぎ目地・RC躯体と建具取り合いなど)は 3面接着。2面接着はワーキングジョイント(カーテンウォール目地など)。

問11.ステンレスシート防水工事において、Tジョイントは末端から150mmの折り曲げ部を倒して接続する整形材と平行に折り曲げ、シーム溶接を行った。
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→ Tジョイントの処理として正しい記述。折り曲げ寸法は 150mm、溶接はシーム溶接。

問12.横型ルーフドレンをスラブ天端から70mm下げて固定した。
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→ 横型ドレンのスラブ天端からの下げ量は 30〜50mm程度。70mmは大きすぎる(適切な勾配が取れなくなるおそれ)。

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